2026年5月号掲載

こうやって、センスは生まれる

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著者紹介

概要

私たちは日々、何気ない瞬間にハッとすることがある。街角のポスター、SNSで目にした一文、会議でのちょっとした一言…。こうした体験の裏に共通してあるのが「センス」だ。それは天賦の才ではなく、誰でも日常の中で磨くことができる。こう語るクリエイティブディレクターが、センスを育てる3つのフェーズを指南する。

要約

そもそも「センス」とは何か?

 「センス」という言葉は、私たちの生活に深く入り込んでいる。例えばファッションセンス。ふと見かけた人の服の色味や素材感が絶妙で、「おしゃれだな」と感じる。美的センスも同様である。カフェの照明や観葉植物の配置に「この空間、落ち着くな」と思う。

 経営センスという言葉もよく耳にする。難しい局面でも決断が早く、しかもその判断に社員が納得し、心を動かされる…。そうした人は、「経営センスがある」と評される。

人をハッとさせるアウトプット

 では、そもそもセンスとは何か?

 センスとは、「人をハッとさせるアウトプット」である。ここで言う「ハッとする」とは、単なる驚きのことではない。驚き、納得、共感、意外性、記憶への刻み込みなど、いくつかの要素が複雑に絡み合っている。例えば、誰かの発言を聞いた時に「そうそう、それが言いたかった!」と胸の内がすっと晴れるような体験。それもまた1つの「ハッとする瞬間」である。

「ハッとする」とは、半歩先の提案である

 この「ハッとさせる」瞬間は、派手な演出や特別な才能から生まれるわけではない。むしろ相手の立場や背景をよく観察し、「どのように提示すれば一瞬で伝わるか」を考える姿勢から生まれる。

 つまり、センスとは相手の理解の射程と興味の範囲を踏まえた上で、ほんの少しだけ先を提示する力なのである。

 ここで重要なのは「ハッとさせる」と言っても、奇をてらう必要はないということだ。よくある勘違いとして、「センス=斬新・独創的・派手なもの」という思い込みがある。確かに、大胆な発想やデザインは一瞬で人の目を惹きつける。しかし、それは必ずしも「センスがある」ことと同義ではない。むしろ、その斬新さが強すぎるあまり受け手に理解されないケースも少なくない。

 センスとは「十歩先を行くこと」ではない。十歩も先を走ってしまえば、たとえ素晴らしいアイデアでも相手には届かないからだ。とはいえ、既存の枠の中に収まってしまえば、「どこかで見たことがある」と思われ、印象に残らない。

 

センスはこうして生まれる

 センスは「天賦の才」や「生まれつき持っているもの」というイメージが強い。だが、センスとは才能ではなく、誰でも日常の中で磨くことができるスキルである。

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