2026年3月号掲載
「人の器」の磨き方
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年12月30日
- 定価2,090円
- ページ数307ページ
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著者紹介
概要
「人の器」とは何か? それをどう磨いていけばいいのか? この問いに、成人発達理論の専門家とリーダーシップ・コーチングのプロが答えた。「人の器とは、ものの捉え方の豊かさ」。そう定義するとともに、器を育てるためのプロセスを示す。AIが台頭する時代だからこそ、器を磨くという人間の本質的な力が求められるという。
要約
「人の器」を知る
「人の器」とは何か。
それを定義しようと、心理学の観点からいくつものアプローチが試みられてきた。だが、統一された目安はいまだにない。ただ、それらの研究を総合的に解釈すると、「人の器とは、ものの捉え方の豊かさ」と定義することができる。
では、どうすればこの器を育てることができるのか。本書では、発達心理学の成人発達理論の知見をもとに、人の器を育てるプロセスを次の3つのフェーズで捉える。
- ・第1フェーズ:「知る」「味わう」
- ・第2フェーズ:「磨く」「強くする」
- ・第3フェーズ:「大きくなる」
まず、「器を知る」ことから始めよう。
「器の大きさ」とは何か
前述の通り、人の器とは「ものの捉え方の豊かさ」と定義できる。比喩的に表現すると、「器の大きさとは、多様なメガネを持っていること」であり、これは表面的なスキルや知識の豊富さとは異なるものである。
多様なメガネを持つとは、物事を様々な見方で捉えられるということ。自分の見え方と他者の見え方を同時に理解できる、つまり自己視点と他者視点、主観と客観を両立できるということだ。
この定義に照らせば、器を育てる3つのフェーズとは、「ものの捉え方」を豊かにしていくプロセスといえる。
多様な視点を柔軟に取り入れ、統合する
発達心理学者カート・フィッシャーの『ダイナミックスキル理論』によれば、人は成長するにつれて、より複雑な行動や考え方の「スキル(能力構造)」を、環境との関わりの中で組み立てながら発達させていく。そして「人の器」とは、このスキルの中でも特に「多様な視点を柔軟に取り入れ、それを統合できる力」として捉えられる。
例えば、自分の考えだけでなく、他者の立場や感情、状況を同時に理解しようとする姿勢。そして、それらをもとにして行動や判断を調整する力。これこそが「器の大きさ」の大事な要件の1つだ。
メタ認知を使って、多様なメガネを手に入れる
物事を多角的に見る能力を身につけるには、メタ認知を効果的に活用する。メタ認知とは、自分の思考や認知プロセスを客観的に観察し、制御する能力のことだ。では、この力をどう使うのか。
まず、メタ認知によって視点をコントロールしながら、「自分はなぜこう考えるのか」を客観的に観察する。次に、視点を他者に向けて、「異なる立場の人はどう感じるだろうか」と意識的に視点を転換する。そして、「自分はこう思う、しかし他者はこう思うかもしれない」という複数の視点を同時に保持する練習を重ねる。