2026年3月号掲載
マネジメントの原点 協働するチームを作るためのたった1つの原則
著者紹介
概要
起業家として、多くの組織の内側を見てきた著者は言う。マネジメントの原点とは、カリスマになることでも鋼のメンタルを持つことでもない。操作や忖度のない、「健全な合意」を作ることだ、と。本書では、その健全性と効率性の両立を図りつつ、合意を導く方法を解説。チームを自律的に動かすための「技術」が学べる1冊だ。
要約
チームが成長するカギは「合意形成」
成長し続けるチームと、停滞し、疲弊していくチーム。その明暗を分けるものは何か?
それは、リーダーのカリスマ性や才能以上に、根本的な「仕事の進め方」、すなわち人と人がどう認識をすり合わせ合意に至るかという設計にある。この設計がうまくできれば、チームは自律的に動き出し、成果は加速する。そこでカギとなるのが、「健全な合意形成」というアプローチだ。
健全な合意
健全な合意形成とは、公平な情報と心理的な安全性が保たれた場で、参加者全員が互いを信頼し、各々が自らの選択として到達しようとする意思の一致のことだ。つまり、依存・操作・忖度といった外的コントロールが排除された状態である。
健全な合意があればチームメンバーは自律的に行動し、信頼関係を築くことができる。
不健全な合意
逆に、組織のパフォーマンス低下や信頼の喪失を招く「不健全な合意」も現場ではよく見られる。
不健全な合意とは、例えば、異論を唱えることを恐れて表面的に同意する、上司の期待に応えようとして自分の本音を押し殺して動く、といったものだ。こうした行動は、短期的には「協調」や「調和」として評価されるが、実際には拒絶や摩擦を避けようとする反応にすぎない。
合意形成コスト
多くの人は、健全な合意を作るには時間がかかるものだと考える。しかし実際には、不健全な合意こそが、後になって膨大な時間を奪う。
時間をかければメンバーの納得感は高まるかもしれないが、プロジェクトの進行が遅れ、生産性が低下するなどのリスクがつきまとう。かといって、プロセスを簡略化すると今度はメンバーの納得感が欠如し、不満や摩擦が後から表面化する。
このバランスを取るためには、単に「効率を上げる」という発想だけでは不十分である。むしろ、「最小限のコストで最大の納得感を引き出す合意形成」を考えるべきなのだ。
不健全な空気
なぜ、組織に不健全な合意が生じてしまうのか。それが生まれるメカニズムを探っていこう。