2026年3月号掲載
AIに選ばれ、ファンに愛される。 変わる生活者とこれからのマーケティング
著者紹介
概要
今や、AIは世の中に広く浸透しつつある。今後、その普及はさらに加速し、ほぼすべての生活者が使うようになるだろう。本書は、そんなAI時代のマーケティングについて考察。激変する環境下を企業が生き抜く道として、AIに選ばれる「AIルート」と、ファンに愛され続ける「ファンルート」という2つのアプローチを提示する。
要約
「世界一賢い生活者」の誕生
今日、世の中に流れている情報量は無限レベルである。生活者は、そんな情報の大海で溺れかけている。どの情報が正しいのか、何を信じればいいのか、もはやわからない。
そこに登場したのがAIである。AIはその大海を隅々まで泳ぎ回り、瞬時に最適解を提示する。
例えば「膝にやさしいランニングシューズ」を探すよう依頼すると、AIは全メーカーの商品特徴を調べ、最適なものを瞬時に3~5個に絞ってくれる。この便利さを体験したらもう戻れない。
AIは情報収集能力や分析能力に長けている。今後情報が増えるほど、AIの価値は高まり、普及は加速するだろう。そして、このAIと一心同体のように生きていくことで、多くの人が「世界一賢い生活者」になっていく ―― 。
買い物はB to CからB to A w Cになる
この「世界一賢い生活者」の登場で、買い物の構造が根本的に変わる。
今まで企業(B:Business)は、生活者(C: Customer/Consumer)に直接情報を届けようとしていた。これを「B to C」という。
AI時代、ここに大きな変革が訪れる。スマホなどにAIが常駐し、生活者の買い物に付き添うようになるのだ。B to Cの間にAIが入って「B to A to C」(企業 to AI to 生活者)になる。
企業は今まで通り、一方的に情報を伝えようとする。だが、間に立ったAIに分析され、色々調べられたあげく、ご主人である生活者にその情報が“間接的に”伝わる。
その時、ご主人(生活者)とAIの間で話し合いが起こり、その商品が良いのか悪いのか、対話して選ぶようになる。つまり、B to A to Cは「B to A w C」(企業 to AI with 生活者)となる。
そして、ほんの少し未来の世界では、この超便利な生活に慣れたご主人が、ほとんどの情報をAI経由で受け取るようになる。その結果、企業がどんなに素晴らしい商品を作っても、AIが「これは違う」と判断したら、ご主人には届かなくなる。