2026年2月号掲載

「中国」という捏造 歴史・民族・領土・領海はいかにして創り上げられたか

Original Title :THE INVENTION OF CHINA (2020年刊)

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著者紹介

概要

5000年に及ぶ歴史、「チャイナ」という国名、民族から領土に至るまで。中国が誇るアイデンティティは、どれも“フィクション”だった ―― 。これらは、「19世紀後半から20世紀にかけて捏造されたもの」。こう断じる英国のジャーナリストが、中国が唱える“神話”の虚構性を指摘。詳細な資料をもとに、その生成過程を検証する。

要約

「5000年にわたる歴史」?

 「百年国恥」を忘れるな ―― 。

 これは、中国共産党が繰り返すプロパガンダだ。

 2017年10月18日の中国共産党第19回全国代表大会で、習近平はこう語った。

 「5000年以上の歴史を持つ我が国は輝かしい文明を築き…世界の偉大な国家の1つとなった。…しかし1840年のアヘン戦争で、中国は内憂外患の暗黒時代に突入した。国民は戦争に疲弊し…貧困と絶望の中に暮らしていた」

 信じがたい歴史見解だ。中国が1世紀にわたって外国の侵略に翻弄された被害者であるという。

 なぜ、こんな歴史見解を唱えるのか、その動機は明らかだ。それが、一党独裁国家にとって都合がよいからである。中国がどんな変化を経て現在に至ったのかという、答えにくく、都合の悪い問いに直面する必要がなくなる。その結果、「習政権が説く歴史」が正統とされるようになる。

 だが、近年の研究は、中国の歴史のほぼすべての側面に異議を唱えている。中国の歴史は、実は現代に創作されたフィクションである、と。

「チャイナ(中国)」は西洋人が作りだした概念

 「チャイナ(中国)」は、古くから地域の中心。こうしたイメージは西洋人が作り上げたものだ。

 だが実際には、当時、チャイナという名の国は存在しなかった。1644年~1912年、この地域は内陸アジアに起源をもつ帝国・大清国の領土だった。前王朝の明も約300年間続いたが、チャイナという名称が使われたことはない。

 交易商のガレオテ・ペレイラは、明王朝での暮らしを記した滞在記で述べている。ヨーロッパ人が「チャイナ」と呼ぶ国が、現地の人々にはその名称で知られていなかった、と。彼らは自国を「大明」と称し、自らを「大明人」と呼んでいた。

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