2026年2月号掲載
「中国」という捏造 歴史・民族・領土・領海はいかにして創り上げられたか
Original Title :THE INVENTION OF CHINA (2020年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年8月8日
- 定価2,090円
- ページ数552ページ
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著者紹介
概要
5000年に及ぶ歴史、「チャイナ」という国名、民族から領土に至るまで。中国が誇るアイデンティティは、どれも“フィクション”だった ―― 。これらは、「19世紀後半から20世紀にかけて捏造されたもの」。こう断じる英国のジャーナリストが、中国が唱える“神話”の虚構性を指摘。詳細な資料をもとに、その生成過程を検証する。
要約
「5000年にわたる歴史」?
「百年国恥」を忘れるな ―― 。
これは、中国共産党が繰り返すプロパガンダだ。
2017年10月18日の中国共産党第19回全国代表大会で、習近平はこう語った。
「5000年以上の歴史を持つ我が国は輝かしい文明を築き…世界の偉大な国家の1つとなった。…しかし1840年のアヘン戦争で、中国は内憂外患の暗黒時代に突入した。国民は戦争に疲弊し…貧困と絶望の中に暮らしていた」
信じがたい歴史見解だ。中国が1世紀にわたって外国の侵略に翻弄された被害者であるという。
なぜ、こんな歴史見解を唱えるのか、その動機は明らかだ。それが、一党独裁国家にとって都合がよいからである。中国がどんな変化を経て現在に至ったのかという、答えにくく、都合の悪い問いに直面する必要がなくなる。その結果、「習政権が説く歴史」が正統とされるようになる。
だが、近年の研究は、中国の歴史のほぼすべての側面に異議を唱えている。中国の歴史は、実は現代に創作されたフィクションである、と。
「チャイナ(中国)」は西洋人が作りだした概念
「チャイナ(中国)」は、古くから地域の中心。こうしたイメージは西洋人が作り上げたものだ。
何世紀にもわたり、西洋人がチャイナと呼んでいた場所は、探検家や宣教師が持ち帰った断片的な情報を元に想像されたものだった。その結果、西洋では、チャイナとは古代から連綿と続く独立国家、というイメージが定着したのである。
だが実際には、当時、チャイナという名の国は存在しなかった。1644年~1912年、この地域は内陸アジアに起源をもつ帝国・大清国の領土だった。前王朝の明も約300年間続いたが、チャイナという名称が使われたことはない。
交易商のガレオテ・ペレイラは、明王朝での暮らしを記した滞在記で述べている。ヨーロッパ人が「チャイナ」と呼ぶ国が、現地の人々にはその名称で知られていなかった、と。彼らは自国を「大明」と称し、自らを「大明人」と呼んでいた。