2026年2月号掲載
ビジネスとしての宗教
Original Title :THE DIVINE ECONOMY:How Religions Compete for Wealth,Power,and People (2024年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年11月25日
- 定価3,960円
- ページ数532ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
はるか昔から、人は宗教とともに生きてきた。礼拝を欠かさず、多額の寄付を行い、布教に勤しむ…。なぜ我々は、宗教に惹かれるのか? その理由を、「ビジネス」の面から解き明かした書である。他の組織と経済的資源・人的資源をめぐって競争する宗教の生存戦略を、“プラットフォーム”という観点を用いて明らかにする。
要約
宗教はビジネスである
「貧しい人がどうしてわざわざ裕福な人にお金をあげるのだろうか」
以前、ガーナでグレイスという女性と話した時、私の頭を離れなかったのは、この疑問だった。
貧しい人がなぜ進んで献金するのか
彼女の1日の稼ぎは、1.5ドルをわずかに超える程度。炎天下の路上で12時間、へとへとになるまで働いたら、スラム街にある粗末な家に帰る。
日曜日には教会に行く。教会では案内係として、訪れた人を席に案内し、日曜学校の手伝いもする。
教会への献金も怠らない。献金すれば、ほかのことにお金が使えなくなるとわかっていながらだ。
献金を受け取るウィリアム牧師は、大金持ちだ。大きなメルセデスに乗り、グレイスからの献金を必要としないことは一目でわかる。なのに、グレイスはみずから進んで献金している。
なぜそんなことをするのか。それは、教会に通うことが、彼女にとって重要な意味を持つからだ。
教会では、案内係として、教会に来た人と気持ちのよい挨拶を交わすことができる。日曜学校では自分よりもっと弱い立場に置かれた人に責任を持つことができる。友達をつくることもできるし、未来の夫とも出会えるかもしれない。こういうことをすべて、自分のことを受け入れ、敬意を払ってくれるコミュニティの中ですることができる。
外部の者には、大金持ちのウィリアム牧師が貧しい女性に献金を求めるのは、理不尽に思える。しかしグレイスにとってはそうではないのだ。
21世紀に入ってからも、グレイスと同じように、世界の何十億という人々が宗教指導者の呼びかけに応えて、時間と労力とお金を宗教団体に費やしている。その結果、宗教団体が世界各地で強大な力を手にしている。
宗教を栄えさせるもの
宗教が栄えるのは、人々の心を掴む精神的な教えを説き、人間の根本的な渇望に訴えかける物語を提供しているからだ。では、宗教的な教えを心に響くものにするのは何なのか。