2026年2月号掲載
「沈黙」は最強の戦略である
Original Title :STFU:The Power of Keeping Your Mouth Shut in an Endlessly Noisy World (2023年刊)
著者紹介
概要
出世をしたい、人に影響を与えたい。そんな願望がある時は「とにかく黙る」といい。沈黙によって得られるものは大きい。人間関係は良好になり、精神的にも身体的にも健康でいられる。これまでしゃべりすぎて多くの失敗をしてきた著者が、戦略としての沈黙の効用とその手法を公開。会議や交渉の場で役立つヒントが満載だ。
要約
療法としての「とにかく黙る」
黙ることを覚えれば、人生が変わる。
より賢くなり、人に好かれ、創造力が高まる。あまりしゃべらない人ほど職場では早く昇進し、交渉に勝つことが多い。軽口をたたく人よりも心を込めて話す人の方が、良い人間関係を築き、精神的にも身体的にも、より良い状態でいられる。
ともあれ、とにかく黙れ。そうでなければ、大失敗をする。
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「とにかく黙る」ためには、まず、何も話さない時間を作ることだ。そうすれば、不安や気持ちの落ち込みが軽くなる。つまり、「とにかく黙る」は療法でもある。
とにかく黙って脳を癒す
インドのハイテク企業ミューシグマのCEOであるディラジ・ラジャラムは、数年前、会社に午前と午後に30分間の休憩を取り入れ始めた。その時間、4000人の従業員はデスクやPC、スマホから離れ、沈黙して過ごす。メールを見たり、ツイッターをスクロールしたりするのも禁止だ。
ラジャラムは言った。「音を遮断するだけでなく、映像も遮断するんです」。彼は、こうした休憩によって、従業員がさらに創造力を高め、ひいては生産性を向上させることができると信じている。従業員は1日1時間、デスクでの作業ができなくなるが、「残りの時間を有効に使っている」とのことだ。
ラジャラムは、ヴィパッサナー瞑想の実践者であり、自らをビジネスマンであると同時に哲学者であると捉えている。彼に言わせると、私たちは皆、情報過多によって少しおかしくなっている。
「問題は、私たちがしゃべりすぎることだけではありません。情報があまりに多いせいで、何がノイズで、何がシグナルなのかがわからなくなっていることです」
「とにかく黙る」を実践する方法
私は「とにかく黙る」の実践を、ランニングやジム通いと同様に、トレーニングだと考えている。何も言わないでいられる時は何も言わない。それが「とにかく黙る」を実践する方法の1つだ。
今日、具体的な会話を選び、その中で一定時間、何も言わないようにしよう。また、会話中に沈黙をはさみ、「間」の力を使いこなそう。最初は気まずく感じるかもしれない。だが、そのうち楽になる。間をとることは、心と身体の健康を保つカギである「意味のある、本質的な会話」をするための大きな要素だ。口を開く前に、息を吸い、2拍待とう。