2026年1月号掲載
THE WEALTH LADDER 富の階段 ――資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略
Original Title :THE WEALTH LADDER (2025年刊)
著者紹介
概要
資産形成の最適な道筋は「富の階段(ウェルス・ラダー)」を登ること ―― 。資産が少ないうちは収入増に集中し、増えればそれを運用、そして起業に舵を切る…。このように、資産状況に応じて段階的に稼ぎ方を変えていくことが肝要だという。そのための戦略を6つのレベルに分けて解説。人生の各ステージで富を築く助けとなる“お金の戦略書”だ。
要約
人生を変える「富の階段」とは?
私が初の著書『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』を書いたのは、「どうすれば富を築けるのか?」という疑問に答えるためだった。私が示した答えは、「ジャスト・キープ・バイイング(とにかく収益資産を買い続けなさい)」だった。
これは良い答えだったと今でも確信している。しかし、このアプローチには限界がある。1人1人の事情を考慮したものではないからだ。
そこで私は、読者の現在のファイナンスの段階に合わせて最適な道筋を示すことにした。そのフレームワークとなるのが、「富の階段」(ウェルス・ラダー)である。
富は直線的なものではなく「階段」のようなもの
ここで言う「富」とは「純資産」を指している。つまり、あなたが持つ全ての資産から負債を差し引いたもので、以降ではこれを「資産」と呼ぶ。
私たちは、富が増えると個人消費も増えると思い込んでいる。だが、必ずしもそうではない。
資産が10万ドルある人は、1000ドルしかない人とは全く違うライフスタイルを送れる。だが、資産が50万ドルの人の生活は、40万ドルの人とほぼ同様である。似たような店で買い物をし、似たような車に乗り、似たような家に住んでいる。
つまり、私たちが豊かさから享受できる喜びは、資産が1ドル増えるごとに増加するのではなく、段階的に増加していくのだ。
この意味で、富は直線的なものではなく、階段のようなものだ。そして、この階段の各段は、あなたの「資産レベル」に対応している。
富の階段の6レベル
各資産レベルでは、お金の使い方から、稼ぎ方、投資法まで様々な戦略が変わってくる。各レベルと、そのお金の使い方は次の通りだ。
- ・レベル1(資産1万ドル〈約150万円〉未満)
余裕なし。支出をすべて細かく管理しなければならない。 - ・レベル2(資産1万ドル〈約150万円〉以上~10万ドル〈約1500万円〉未満)
食料品の自由。値段を気にせずスーパーで商品を選べる。 - ・レベル3(資産10万ドル〈約1500万円〉以上~100万ドル〈約1億5000万円〉未満)
レストランの自由。値段を気にせずに、レストランで好きなメニューを選べる。 - ・レベル4(資産100万ドル〈約1億5000万円〉以上~1000万ドル〈約15億円〉未満)
旅行の自由。好きな時に好きな場所に旅行できる。 - ・レベル5(資産1000万ドル〈約15億円〉以上~1億ドル〈約150億円〉未満)
住居の自由。資産全体に大した影響を与えずに、夢の家を買うことができる。 - ・レベル6(資産1億ドル〈約150億円〉以上)
影響力の自由。お金を使って他人の人生に大きな影響を与えられる(企業買収等)。
富を築く包括的なフレームワーク
このように富をレベル分けすると、富の階段を登るにつれて自分のファイナンス戦略がどう変化するかを、想像しやすくなる。
例えば、ファイナンスの専門家には、毎月の家計の予算を立てることが経済的成功のカギだとする人もいれば、起業が重要と言う人もいる。一見矛盾していると思えるが、富の階段を理解すれば、「どちらも、富の階段の別のレベルの人に向けて話をしている」ということがわかるようになる。