2026年1月号掲載
HIDDEN POTENTIAL(ヒドゥン ポテンシャル) 可能性の科学――あなたの限界は、まだ先にある
Original Title :HIDDEN POTENTIAL:The Science of Achieving Greater Things (2023年刊)
著者紹介
概要
「才能は、生まれつきのもの」 ―― こう考える人は多い。だが、組織心理学者の著者によれば、人は皆、可能性を秘めており、開花させられるかは後天的に決まる。カギは「性格スキル」。困難に挑む勇気を持ち、情報を積極的に吸収する…。こうした性格を磨く方法、そして行き詰まった時の対処法を、豊富な事例とともに示す。
要約
性格スキル ――「心の力」を伸ばす
世の中には、「才能とは生まれながらにして与えられる特別なもので、努力してつくられるものではない」と信じている人が非常に多い。
しかし、偉業を成し遂げるために、必ずしも「天才児」である必要はない。
かつて心理学者たちは、音楽、芸術、科学、スポーツなどで、ずば抜けた成功を収めた人々を対象に、成功の秘密を探った。その結果、偉大な成功を収めた人々のうち、幼い頃から「神童」と称賛されていたのは、ごく一握りに過ぎなかった。
著名な彫刻家で、特別な才能があると小学校時代に美術教師から指摘された者は、1人としていなかった。テニス界でも、キャリアの初期には、早々に敗退していた選手がほとんどであった。
やがてコーチの目に留まるようになった選手たちは、並外れた才能よりも、並外れたモチベーションの高さを評価された。そして、そのモチベーションは、学ぶことは楽しいものだと教えてくれるコーチや教師のもとで、後天的に育まれた。
違いを生み出す要因は、一見すると先天的な能力差のように思えても、実のところは、適切な機会や、意欲、向上心であることが多いのである。
*
例えば、人格や性格といった「心の力」は、習得し向上させることが可能な1つの「スキル」、つまり「性格スキル」である。
私は性格スキルを研究し、秘めた可能性を解き放つカギとなる特性を特定した。それは、積極性、意志力、そして自己統制力である。目標へ至る長い道のりにおいては、不快感と向き合い困難に挑む勇気、情報を積極的に吸収し応用する能力、そして不完全さを受け入れる覚悟が求められる。
「不快な経験」こそ最高の成長剤
外国語を自在に操りたいと願う人は多い。しかし、その目標はあまりにも遠く、到底、到達不可能だと多くの人が思い込んでいる。
だが、成人してからでも新しい言語を習得できることは、ポリグロット(複数の言語で考え、話すことができる人)が証明している。