2026年1月号掲載
BCGが読む経営の論点2026
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年11月10日
- 定価2,200円
- ページ数265ページ
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概要
2026年、ビジネスの命運を左右するものは何か? BCG(ボストン コンサルティング グループ)が、社会に潜む小さな兆しを読み解き、未来の可能性を展望する。自律するAIの登場、デジタル戦略の再構築、金利のある世界…。不確実性が常態化する時代、本書が提示する10の論点は、経営者が舵を取る上で指針となるだろう。
要約
2026年の経営論点
本書は、2026年時点で、経営者やビジネスリーダーが考えるべき重要経営論点を抽出し、実践につながる洞察を提供することを目的としている。その論点には、例えば次のようなものがある。
自律するAIと企業変革
今、単なる応答を超えて自律的にタスクを実行するAIエージェントなどが実用化されつつある。AIの活用が当たり前となる中、真の競争優位を築くために、日本企業はどう変わるべきか。
AIエージェント
人間のような自然な言語生成と文脈理解を可能にする「LLM(大規模言語モデル)」。その進化を通じて登場したAIエージェントは、単純な質問への応答や文書の生成だけが可能だった生成AIとは異なり、判断から実行までを自律的にこなす。
具体的には、「会議をしたいのでメンバーのスケジュールを調整し、会議室を予約し、メンバーのカレンダーに予定を書き込んでおいて」といった指示を受けて実行することが可能だ。
人間の補助的な役割にとどまらず、タスクを丸ごと任せられる段階へと移行しつつある。
AIが従業員になる時代の人員構成
AIエージェントによって多くの業務が自動化されていくと、組織はスリム化し、人間の働き方や必要な能力も変わっていく。人間の仕事には全体としてより創造性が求められ、高度な判断を要する方向にシフトしていくと考えられる。
まず経験年数の浅いジュニアスタッフ層については、これまで主な仕事となっていたデータ入力などの定常業務が自動化され、人的リソースの必要性が大幅に消失する。
その上のスタッフ層については、AIが加わることによって、現在よりも少ない人数で量的には同等以上の仕事を処理することが可能になる。業務としては、AIの仕事を管理したり、成果物をレビューしたりする役割がメインになるだろう。
管理職では二極化が進行する。AIによるサポートに加えて広範な業務をスタッフ層に委任することで、単純な「人員管理的役割」としての重要性は減っていく。一方、高度な課題解決力で付加価値を出すことが今以上に求められていく。
「AIファースト企業」の実態
AIとの分業を前提に最適化を図る企業を、「AIファースト企業」と呼ぶ。BCGが過去2年間に2000社以上のクライアント企業と協働した経験に基づく分析では、AIで組織を抜本的に変え、新たな競争価値の源泉を生み出しているAIファースト企業には、次のような特徴が見られた。