2025年10月号掲載

賢者の投資思考 チャールズ・エリス 60年の思索の軌跡

Original Title :FIGURING IT OUT:Sixty Years of Answering Investors' Most Important Questions (2022年刊)

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著者紹介

概要

半世紀以上、運用の最前線に立ち続けたチャールズ・エリス。本書は、歴史的論文「敗者のゲーム」をはじめ、市場の変遷とともに歩んできた氏の知見と洞察をまとめたものだ。インデックスの優位性や、老後資金のつくり方等々、投資の基本原則が明快な言葉で語られる。時代が変わっても色あせない、戦略と哲学が詰まった1冊。

要約

敗者のゲーム

 60年前にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取った私は、1963年にウォールストリートで働き始め、投資の世界に入った。それから半世紀以上がたち、投資の世界は大きく変化した。

 本書は、投資業界での過去60年間の論考をまとめたものだ。読者のみなさんに楽しんでいただければありがたい ―― 。

他人の失敗によって勝敗が決まる「敗者のゲーム」

 科学者のサイモン・ラモ博士は、著書『初心者のための驚異のテニス』で、「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」の違いについて述べている。

 テニスでは、プロの試合と一般人の試合は全く異なる。プロは狙って強い球を打ち、相手が追えなくなるまでラリーを続ける。ミスはほぼない。

 プロの試合は「勝者のゲーム」である。結果は、勝者のプレーによって決まるからだ。

 一方、アマチュアのテニスはその反対で、ボールを絶えずネットにひっかけたりラインの外に出したりする。アマチュアは「敗者のゲーム」で、プレーヤーのエラーにより勝敗が決まる。

 この違いからラモ博士は、一般のプレーヤーは失敗を少なくすれば、相手は自滅するという法則を見いだした。勝ちたいなら、守りを固めて相手が打ち損なうのを待つことだと彼は主張する。

 失敗が少なければ勝てる「敗者のゲーム」は多い。ゴルフもそうだ。ゴルファーのトミー・アーマーは「勝つにはミスショットを減らすこと」と語る。

「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」へ

 1960年代に、ウォールストリートで働く人はみな勝者だった。彼らは優等生で、大学ではスポーツチームのキャプテンを務めた。イェールやハーバードで学んだ彼らは、「勝者のゲーム」がウォールストリートにあると考えた。頭が良くて勤勉な人なら誰もが成功する時代だった。

 やがて、この「勝者のゲーム」は自滅の道をたどる。あまりにも注目を浴び、多くの金儲けをしたい人を惹きつけたからだ。競争の激しいアクティブ投資では手数料のかかる売買を頻繁に行う。これが「構造変化」を引き起こし、株式投資は追加収益を生むというより赤字要因となり、「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」に変化した。

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