2025年9月号掲載
「顧客が増え続ける」科学 デジタル時代のマーケティング新定跡
著者紹介
概要
複数の企業でマーケティング責任者を務める著者が、ビジネスを成長へと導く「新定跡」を公開。顧客が第三者に語りたくなる体験を提供する、新規顧客への提案はシンプルに徹する、等々。紹介される手法は、長年の経験から導かれた実践的なものばかりだ。デジタル化が進む今、顧客に選ばれ続けるためのヒントが満載の書である。
要約
「マーケティング」の新定跡
スマートフォンが生活の一部となり、私たちはSNSやECサイトを通じて、いつでもどこでも情報収集や購買ができるようになった。
この「デジタル時代」において、マーケティングは根本的な変化を迎えている ―― 。
スマホの普及で大きく変わった購買行動
スマホが普及し始めた頃、米グーグルが「ZMOT(Zero Moment of Truth)」という概念を提唱した。これは、生活者が商品を購入する際は、事前にインターネット上で情報収集を完結しており、店頭に足を運んだ時点ですでに購入する意思を持っている、という消費行動を意味している。
ここで重要なのは、ネットで得た情報は必ずしも企業の広告ではないということだ。人々は企業が発信する情報よりも、SNSの口コミなど、生活者同士で発信している情報を参考にしている。
デジタル時代以前のマーケティングは、競合との差別化を図って商品を作り、それを伝えて買ってもらう「売るまで」が重要だった。それがデジタル時代においては、買った後の顧客体験までを見る「売った後」が重要になったのだ。
顧客とダイレクトにつながるマーケティング
「売った後」のマーケティングの重要性が高まる中で、企業と顧客の関係も変化している。特に、デジタル技術の進化により、企業がSNSやアプリを活用することで、顧客と直接コミュニケーションを取ることが可能になっている。
例えば、日本コカ・コーラは「Coke ON」というアプリを提供している。自動販売機と連動して利用することでポイントが貯まるというものだ。
顧客は同社の自動販売機を使うほどお得に買い物ができる。一方、企業はこれまで取得が難しかった個別の購入データを自販機経由で入手し、それを基に顧客1人1人に合わせたマーケティング施策を展開できる基盤を構築している。
このように、企業がデジタルツールを活用し、顧客と直接つながることで、売上の向上だけでなく、長期的な関係構築が可能になったのだ。
「顧客体験」の新定跡
デジタル技術で顧客と直接つながれるようになった今日。多くの企業が、この関係性を活用した「顧客体験の向上」への関心を高めている。