2025年9月号掲載
勝負師 孫正義の冒険 上・下
Original Title :Gambling Man:The Wild Ride of Japan's Masayoshi Son (2024年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2025年6月25日
- 定価1,980円
- ページ数[上]341ページ、[下]317ページ
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著者紹介
概要
ソフトバンク創業者にして稀代の投資家、孫正義。その足跡を、フィナンシャル・タイムズの元編集長が追った。数々のアイデアに熱意を傾け、時に無謀な賭けにも突き進む ―― 。シリコンバレーを中心に各国を徹底取材。日本からは見えない孫の人脈と、“勝負師”としての姿を浮き彫りにした、米欧の書き手による初の評伝だ。
要約
孫正義という人間
孫正義には2つの顔がある。
1つ目は分裂したアイデンティティ、つまり在日韓国人として生まれた若者の内なる葛藤である。
2つ目はソフトバンクを設立した「孫さん」だ。世間を驚かすプロデューサーにして、テクノロジーの先を読むことに長けた男としての顔だ。
だが、孫正義にはこれまであまり表に出なかった3つ目の顔がある。孫はシリコンバレーという、地球上で最も革新的な場所で、一流投資家やテック企業創業者たちによく知られている。
“マサ”として名が通っている彼は、1980年代からシリコンバレーで人脈づくりに取り組んだ。彼はまず、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズらが集うラスベガスを拠点とする展示会コムデックスに定期的に参加した。そして1995年に、コムデックスそのものを8億4200万ドルで手に入れた。高額な買収に思われたが、これによって彼は特権的な地位をテクノロジーの世界で得た。
そんなマサの特別な資質は、アメリカとアジア、そして中国との架け橋として行動できるということにある。彼は中国で最も重要な外国人投資家の1人であり、アリババが電子商取引の巨人になると賭けて合計1億ドルを投じ、大成功を収めた。
近年、習近平が中国で、ドナルド・トランプがアメリカで権力を握り、世界が2つの陣営に分裂した。この新しい環境下で、マサのようなグローバルな起業家たちは選択を求められている。彼はアメリカに付くと決めた。
このような時代においては、政治的影響力が重要になる。2024年12月、マサがトランプと面会し、共同で記者会見したのはこのためである。マサは、トランプの2期目の任期末である2029年までに1000億ドルをアメリカに投資し、10万人の雇用を創出すると発表した。
マサは派手な演出を好むショーマンであり、時には物事を誇張して語り、無謀な賭けをしてしまう。そのため巨額損失を被ることもあるが、逆境から立ち直る彼のレジリエンスには驚かされる。
フクシマ
数々のアイデアが浮かび、熱意を傾けて集中的に取り組み、その挙句に行き過ぎて、失敗、後悔する ―― 。孫正義の人生は、繰り返し起きるこのようなパターンに従っている。