2025年8月号掲載
一生健康に働くための心とカラダの守り方
著者紹介
概要
年齢を重ねても、健康で働き続ける。そのための秘訣を、元戦略コンサルタントの産業医が説いた。肌の状態を気にかける、ストレスを感じたら笑顔になれる動画や写真を見る、心身が不調でも挨拶は欠かさない、等々。紹介される内容はいずれも医学的根拠に基づくものばかり。生活に取り入れたくなる、実践的なヒントが満載の1冊。
要約
身体の健康管理
年金制度への信頼が落ちている現在、「生涯働く」ことが注目されている。年齢を重ねても働くことができれば、収入も、人と接する機会も得られ、充実した人生を送ることができる。
だが、働き続けるために最も大事な「健康」については、誰もが漠然とした不安を抱えているのではないだろうか。そこで、現代人に多い身体の不調の背景とその対処法について、医学的根拠を交え解説していこう。例えば ――
働き盛りの人が、突然耳が聞こえなくなる
疲れている時に耳が詰まった感じがして、人と話していても声がこもったように聞こえる…。
「突発性難聴」はその名の通り、突然耳が聞こえなくなる病気である。原因としては、ウイルス感染、血流障害、自己免疫異常などが考えられるが、現在の医学でも明確には特定されていない。
聴力が落ちたと感じても、病院に行かず、放置してしまう人もいる。しかし、突発性難聴は発症から2週間以内に治療をしないと聴力が戻らないこともある。そのため早期の受診が必須である。
そして、ストレスや疲労も原因の1つといわれている。予防法はリフレッシュをすることだ。
忙しい時ほど数分の時間を取ってリフレッシュすることが身体を守り、精神を守り、仕事の生産性を保つ。例えば、深呼吸やストレッチ、1~2分目を休める、立ち上がって歩く、好きな写真を見る、ハーブティーを飲む、などだ。
顔面神経麻痺は症状が完全に回復しないことも
朝起きて顔を見ると、片方の目や口が動かないことに気づくことがある。これが有名な「顔面神経麻痺」だ。この状態では働くこともできないので、しばらく休職することがほとんどである。
顔面神経麻痺は、顔の片側または両側の筋肉が正常に動かなくなる病気である。この症状は突然現れることが多く、自己免疫疾患やストレスなどが原因と考えられている。
治療を受けることで、多くの場合は数週間~数カ月で回復するが、重度の場合は症状が完全に回復しないこともある。この病気も症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診することが重要だ。
座りすぎは高い死亡リスクをもたらす
オフィスワーカーは仕事の時間のほとんどを座って過ごす。そして、座りすぎが腰痛を引き起こすことはよく知られている。座り姿勢が腰椎や背中の筋肉に過剰な負担をかけるからだ。座っていると、腰椎の椎間板には、立っている時の約1.4倍の圧力がかかるといわれている。