2025年8月号掲載

ドラッカーに学ぶ 中小モノづくり企業のためのニッチトップ戦略

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著者紹介

概要

他社が対応したがらないニーズに応え、ニッチな市場で独自の製品を提供する ―― 。中小モノづくり企業がその強みを活かす、「ニッチトップ戦略」について解説した書だ。経験豊富なコンサルタントが、ドラッカーの教えをもとに市場でオンリーワンの地位を築く方法を明かす。中小のメーカーには、中小ならではの戦い方がある!

要約

ニッチトップ戦略の魅力

 「マネジメントの父」と呼ばれるピーター・ドラッカーは、次のように言っている。「ニッチ戦略は限定された領域で実質的な独占を目指す」。

 また、「利益は、市場が価値ありとし、進んで代価を支払うものを供給することによってのみ得ることができる。そして価値あるものとは、リーダー的な地位によってのみ実現される」と述べ、特定分野でトップになることを求めている。

 私は、「ニッチ戦略」と「製品のリーダーシップ(ある分野でのトップ)」を統合して「ニッチトップ戦略」と表現している。

ニッチトップ戦略の定義

 ニッチトップ戦略とは、「ドラッカーのマーケティングとイノベーションで眠れる強みを覚醒し、粗利益率を向上させるとともに、新しい顧客層を開拓する事業戦略」だ。

 その必要条件は、①特定の顧客が熱望しているにもかかわらず、他社が対応したがらないニッチなニーズであること、②自社の強みを活かせる独自化(オンリーワン)または断トツの差別化された製品や提供方法を設計できること、である。

ニッチトップ戦略は適所生存

 進化論には、「適者生存」という言葉がある。ほとんどの生物は競争環境に身を置いているので、弱肉強食や優勝劣敗が当たり前の世界だ。

 しかし、生物の世界をよく観察すると、「適者生存」ではなく「適所生存」の世界に身を置いているものも少なくない。それがニッチ戦略だ。

 例えばシロイワヤギは、北米ロッキー山脈の断崖絶壁に生息している。真冬はマイナス40度にもなる過酷な環境だが、捕食動物がおらず、飢えをしのぐ程度の食べ物もある。つまり、生存領域(対象市場)を選べば、競争から解放されるのだ。

 例えば、高級スポーツカー・フェラーリの2023年の売上は約9500億円だが、販売台数は1万3663台と、世界の乗用車の販売台数の約0.015%にすぎない。同社は、ごく少数の熱狂的なファンに支えられた「フェラーリブランド」という独自のニッチ市場にポジショニングしている。

 他にも、顧客ニーズはあるが放置されている市場で事業展開すると、特定の顧客が切望しているのにライバルがいない。従って、粗利益率向上&新しい顧客層を開拓するビジネスモデルを創れる。

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