2025年1月号掲載

シンギュラリティはより近く 人類がAIと融合するとき

Original Title :The Singularity Is Nearer (2024年刊)

最新号掲載 シンギュラリティはより近く 人類がAIと融合するとき ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

我々が“シンギュラリティ”に達するのは、もはや時間の問題だ ―― 。テクノロジーの加速度的な進歩により、人間の肉体は老化を克服し、脳はAIと接続して数百万倍の知性を得る。そんな日が近づきつつあることを、世界的な発明家・未来学者が説く。60年にわたりAI研究に携わってきた著者の、集大成ともいえる1冊である。

要約

シンギュラリティは近い

 2005年に出版した『シンギュラリティは近い』。その中で私は、テクノロジーの発達における技術的収束(もとは無関係だった技術がその進歩に伴い次第に1つの機器や媒体に統合されていくこと)と指数関数的な傾向は変革をもたらし、人類をまったく変えてしまうという説を発表した。

 現在、そのカギとなる分野で成長が加速し続けている。コンピュータの計算能力は安価になり続けている。AI(人工知能)がその能力を高めるにつれて、これらの能力と、人間が本来もつ生物学的知能とがこれまでにないほど密に結びつく。

 いつの日か、人間はAIと融合し、人間が本来もつ力の数百万倍の計算能力を有するようになる。これによって、人間の知能と意識は想像もつかないほど大きく拡張される。これが「シンギュラリティ(特異点)」によって起こることだ。

発展の基礎にある「収穫加速の法則」

 『シンギュラリティは近い』の中で私は、シンギュラリティは2045年頃に起こると予測した。批判の多くは、私が楽観的すぎると言い、さらにはシンギュラリティは起こりえないと言っていた。

 だが、それから注目すべきことが起きている。疑いの声をものともせず進歩は加速し続けたのだ。

 SNSや携帯電話は世界の半分以上の人々とつながっている。AIは囲碁で名人に勝ち、車を運転し、ガンの診断をする。GPT-4やGeminiといったAIの大規模言語モデルは、自然言語の指示をコンピュータコードに変換できるので、人間と機械の間にある障壁は劇的に減った。

 これらの発展の基礎には、私が「収穫加速の法則」と呼ぶものがある。コンピューティングのような情報テクノロジーは、1つの進歩が次の進歩のステージを設計しやすくするので、そのコストは指数関数的に安くなるのだ。その結果、2005年と比べて、今では1ドルで買える計算能力は1万1200倍になっている。

 つまり、これまでシンギュラリティは、約20年前に私が予想した通りに進んでいるのだ。

生活は指数関数的に向上する

 収穫加速の法則は、テクノロジーの中でも、イノベーションを加速させるフィードバックをつくるものに当てはまる法則だ。

収穫加速の法則が強力になった理由

 大まかに言うと、それらのテクノロジーは私たちに情報を管理する大きな力を与えてくれる。情報を集め、蓄え、処理し、伝える力で、それはイノベーションを起こしやすくする。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

アフターデジタル2 UXと自由

藤井保文 日経BP

メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」

岡嶋裕史 光文社(光文社新書)

スマホが学力を破壊する

川島隆太 集英社(集英社新書)

この世界は誰が創造したのか シミュレーション仮説入門

冨島佑允 河出書房新社