2024年6月号掲載
直観脳 脳科学がつきとめた「ひらめき」「判断力」の強化法
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年3月30日
- 定価957円
- ページ数209ページ
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著者紹介
概要
「直観」というと、ともすると論理と対立するもので、根拠も説得力もないとみられがち。しかし、最新の研究によれば、脳の高度な思考から生まれるのが、直観だという。そのメカニズム、優れた直観を得るために心がけるべきことを、脳の専門医が科学的に解説した。著者いわく、「直観と論理は、決して対立するものではない」。
要約
直観を導くメカニズム
人生は決断の連続だ。家を買う、投資先を決めるなど、決めなくてはいけないことが山ほどある。では、何かを決める時に脳のどこが、どのように働いているのか?
我々は「報酬」と「苦労・リスク」を常にはかりにかけ、報酬を最大限にし、苦労やリスクを最低限にしようとして行動を選択している。
最新の脳科学では、そのバランスを見極めようとする時に活性化する脳部位が存在することが明らかになった。この見極めには非常に広い範囲の脳を使っていたのである。良い意思決定には、広い範囲の脳を使う必要があったのだ ―― 。
直観とは何か?
新しい事業に着手する時には、常にリスクを伴う。様々なデータを集めても、それらは全て過去のもの。未来がどうなるかは、誰にもわからない。
それでは、その事業を「やる」のか「やらない」のか、どのようにして決めているのか? 思い悩んだ末に、「これはいける」などの思いが湧き上がってきて決めているのではないか。
その時、脳内では「直観」が働いている。
ここで言う「直観」とは自分の経験知や知識によってもたらされるものを指し、感覚によって瞬時に判断する場合に使う「直感」とは違うものだ。脳は、言葉にできない新旧様々な記憶と新たに得られた情報(データ)をつなぎ合わせて、無意識の中で思考して判断しているのである。
直観は無意識から生まれる
記憶の中には「言葉として蓄える」記憶と「言葉にしにくい」記憶がある。一般的に論理的といわれる決定は、前者をもとになされたものだ。
一方で、色々な世の中の出来事の持つ意味合いを理解して脳の中に蓄えていくことは、言葉として取り出しにくい記憶である。そして、記憶の量として圧倒的に多いのが、この「言葉にしにくい記憶」なのである。
こういった記憶の多くは無意識の中に蓄えられ、年を重ねるごとに増えていく。いわゆる「年の功」「経験値」といわれるものだ。
直観とは無意識の中に蓄えられた記憶・経験値から、無意識の中で思考して生まれてくるものだ。記憶は脳の広い範囲に収められているので、全ての経験値を活用するために、脳を広く使うことが、優れた直観に結びつくのである。