2023年11月号掲載

クライメートテック

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著者紹介

概要

「クライメートテック」とは、再生可能エネルギーや電気自動車といった、気候変動に立ち向かうための技術的ソリューションのこと。今、世界が注目し、関連する分野には毎年数兆円規模のマネーが流れ込んでいるという。脱炭素の潮流が生んだこの新たな経済圏について、自らクライメートテック企業を興した著者が解説する。

要約

クライメートテックの時代

 2022年、スタンフォード大学が約70年振りに新学部を創設した。その名は「サステナビリティ学部」。新学部の目的は、気候変動対策と持続可能性に向けたソリューション開発の促進だ。

 世界最高峰の大学に、気候変動に向けたこのような学部ができたことは、現在の「クライメートテック」ブームを象徴している。

気候変動に立ち向かうイノベーション

 クライメートテックとは、「気候変動の影響を緩和し、災害に強いレジリエンスな社会を構築するための技術的ソリューション」のこと。大きく「電力」「アグリ・水」「建物」「輸送」「産業」「レジリエンス」の6つに分類される。

 気候変動の影響を緩和する技術とは、温室効果ガス(GHG)排出を抑制・削減する技術を指し、例えば再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などがある。災害に強いレジリエンスな社会の構築に向けた技術には、例えば水の浄水技術や気候データのモデル化を支援する技術などが含まれる。

 現在、世界で年間に排出される「GHG排出量」は約510億トンである。GHG排出量とは、CO₂排出量に加え、CO₂以外のメタンなどのガスをCO₂換算して合計したものを指す。この510億トンを、2050年には実質ゼロにしなければならないというのが、カーボンニュートラルの目標だ。

新しい巨大経済圏の誕生

 クライメートテックは、新しい巨大経済圏を形成しつつある。気候変動という大きな課題の解決を目指す企業群が対象となるため、関係する分野が非常に広く、投資額も大きい。

 英国の大手監査法人PwC社のレポートによると、2013年から2021年上期までに2220億ドル(約29兆円)がクライメートテックに投資された。投資の伸びは年間210%。クライメートテック企業数は3000社超といわれ、中でも充電を含むEV分野と代替肉を中心としたフード分野への投資の伸びが特に大きいという。その結果、評価額が10億ドルを超えるユニコーンが数多く誕生している。

 このように、ここ数年の世界のクライメートテックに対する投資の伸びは凄まじく、毎年数兆規模のマネーがスタートアップ群に向かっている。

テスラ:クライメートテックの代表企業

 クライメートテックの代表企業がテスラである。テスラは自社を自動車会社ではなく、カーボンニュートラル推進企業と考えている。

 実際にテスラの事業分野は年々拡大しており、自動車以外にも太陽光発電、蓄電池と個々にハードウェアが存在していたが、エネルギーマネジメントサービスを始めたことにより、それらを繋ぎ、電力会社的な機能を持つようになってきた。

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