2023年10月号掲載

PURPOSE+PROFIT パーパス+利益のマネジメント

Original Title :PURPOSE AND PROFIT:HOW BUSINESS CAN LIFT UP THE WORLD (2022年刊)

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著者紹介

概要

テスラ、ユニリーバ…。気候変動や貧困といった社会問題の解決を目指しつつ、利益を出す企業が増えている。パーパス(目的)と利益。両方を達成するのは一見困難だが、長年このテーマを研究するハーバード・ビジネス・スクール教授によれば、両立は可能だ。これらを両立させる道筋を、教授が自らの研究成果をもとに示す。

要約

何のためにビジネスをするのか

 2016年初頭、私は自動車メーカーの幹部を相手に気候変動について話した。具体的には、電化がメガトレンドとなり、自動車業界に大きな地殻変動をもたらすだろう、という話である。

 だが、幹部たちは、それは遠い未来のことだと言った。私がテスラを持ち出すと、彼らは笑った。テスラが既存の自動車業界に影響を及ぼすなどあり得ない、と。

 それからわずか数年、今や誰もがテスラの背中を追いかけている。テスラの時価総額はトヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ダイムラー、ゼネラル・モーターズ、BMWなどを個別に追い抜いただけでなく、この全社の合計さえ超えた。

 テスラはこれを、利益だけでなく「パーパス(目的)」を重視しながら実現した。イーロン・マスクは時に気まぐれな起業家の横顔を見せるが、こと気候変動に関しては、イノベーションを起こし、世界を変えようと真剣に取り組んでいる。

マイクロソフトとパーパス

 マイクロソフトはかつて、時代遅れでイノベーションを起こせないと見放されていた。それを再び世界で最も価値ある企業の1社にしたのはサティア・ナデラであり、彼による大変革の中心にあったのは、やはりパーパスだ。

 ナデラは、マイクロソフトの目的はたった1つ、「テクノロジーを通して人々が自分の生活をより良くできるようにすること」だと断言し、同社のあらゆる行動にパーパスを注ぎ込もうとした。彼はこのコアバリューによって企業文化を再構築し、イノベーション精神を復活させ、テック業界がより包摂的(インクルーシブ)になるのに一役買った。

 同社の実例から得られる教訓は、たとえ古くさい企業であっても、自社と社会の両方にプラスになるよう改革することはできる、という点だ。

君は何のために仕事をしたいのか?

 新旧いずれの企業も、利潤追求を超える何かを通して、自社と業界を変えつつある。そこでは一体何が起きているのか ―― これを理解するには、次のシンプルな問いかけに行き着く。

 この質問を、ハーバード・ビジネス・スクールの教え子たちにぶつけると、「おカネのためです」との答えが返ってくる。だが、質問の仕方を変えて、「君は何のために仕事をしたいのか?」と聞くと、彼らの答えは違ったものになる。新しいものをつくり出したい、買い手に喜びと満足を与える商品・サービスを生み出したい…。

 もちろん彼らだっておカネは稼ぎたい。だが、多くの人にとって、何のために仕事をするのかという問題は、利潤の最大化だけで説明できることではない。朝起きて、新鮮な気持ちで1日を始められるのは、利潤の最大化のためではないのだ。

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