2023年8月号掲載

サイレント国土買収 再エネ礼賛の罠

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著者紹介

概要

日本の土地が、脱炭素の美名の下に外資に買い進められている! 太陽光や風力発電の開発用地として国土を切り売りし、エネルギーインフラの外国依存を強める日本。用地買収は離島や安全保障上の要衝にまで及ぶ。にもかかわらず、政府はその全貌を掴めていない…。静かに迫る亡国の危機を訴え、取るべき規制のあり方を示す。

要約

外国資本の国土買収

 2022年秋、札幌で1人のアーティストが数千人の観衆に呼び掛けた。

 「北海道という街は、その昔開拓民たちが一生懸命開拓した街だ。お願いだからこの自然に満ち満ちたこの土地を、外国人に売らないでほしい」

 ―― 長渕剛である。

 2023年、中国の若い女性が沖縄の離島(屋那覇島)を買ったことがSNSで拡散し、それを見た中国人が「中国の領土にしてしまえば…」と反応した。地元の伊是名村には「なぜ中国人に売った?」と多くの電話がかかってきたというが、売った人や村を責めてもこの問題は解決しない。離島や安全保障上の要衝地でさえ、ほぼ自由に売買できるという国の仕組みの方に問題がある。

「外資」には2つある

 私は「外国資本(外資)の国土買収」というテーマを長年追いかけている。この問題を論じる際に重要なのは「外資」には2つあることだ。

 a.世界が認める法治国家(欧米等の先進諸国)

 b.それ以外の国家(中国、ロシア、北朝鮮等)

 問題なのは、bの外資だ。昨日までの契約を突然反故にしたり、国際秩序やルールを自国に都合のいいように曲解したり、守らない国である。

世界一強い日本の所有権

 日本では、土地さえ持てば無敵といっていい。その所有権(私権)は世界一強く、公権力よりしばしば強い。土地の情報管理が脆弱で、声の大きい者が勝てるという昔の仕組みが残る。だから新規に購入を考える強気の外国人には魅力的に映る。

 逆に私は、日本の土地がそういう性格をもっているから外資を恐れる。国際秩序を自分に都合のいいように解釈する国からの投資が、2008年以降、増え続けていることを心配している。

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