2023年7月号掲載

経営学とはなにか

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著者紹介

概要

組織を経営する上で、リーダーがとるべき行動とは? それを明らかにした、経営学の概論書である。「想定外への対処」や「決断」などを内容とする新たな経営学の体系を、日本企業研究の第一人者が示す。著者の集大成ともいえる1冊であり、組織のトップから下部組織の長まで、あらゆるリーダーを導いてくれるだろう。

要約

未来への設計図を描く

 本書は、新しい構想で書かれた経営学の概論書である。組織のトップ、あるいは下部組織の長として、「経営という行為を仕事としている人たちが何を行うべきか」を、経営のステップの順で考え、浮かび上がったリーダーの行動を体系化したものである。

 それは、次のようなシンプルなものである。

  • (1)未来への設計図を描く
  • (2)設計図の具現化のために、組織のメンバーに仕事をしてもらう、いわば「他人を通して事をなす」、そのための仕組みをつくる
  • (3)現実の実行プロセスで想定外の事が起きた時、対処行動をとる
  • (4)この3つのステップのあちこちで、必要な決断をする

 これが、「経営行動の原理」の概要である。「想定外への対処」と「決断する」ということを経営学の体系の中に位置づけている点が、ユニークな点といえようか。順に見ていこう ―― 。

 経営行動の第1ステップは、「未来への設計図を描く」という行動である。

①組織の立ち位置を設計する

 その作業として、まずリーダーがしなければならないのは、「組織の環境の中の立ち位置」を設計することである。

 その設計の中心は、誰のために何をする組織だと自ら考えるのか。企業であれば、顧客や分業相手などの他者とどんな関係を築くか。それが立ち位置の設計であり、未来への設計図として最も基本的な設計である。どんな組織もすべて、他者との関係の中で生きており、その関係のあり方が組織の現在と未来にとって、決定的に重要である。

 この立ち位置設計は、企業経営では、経営戦略の策定として議論されるものである。どんな製品を、どんな顧客に提供するか。その顧客を誰と想定するか。競争相手として誰をメインに想定するか。さらに、顧客にどのような訴求力を持とうとするか。その訴求力を実現するために、どのような供給構造を持てばいいのか…。

②未来を目指す流れを設計する

 未来への設計図を描くという経営行動の第2は、「未来を目指す流れ」を設計することだ。

 現在の立ち位置からどんな流れで未来を目指すか、という未来への「動き自体」の設計を考える。その設計対象として、次の3つの流れが重要だ。

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