2020年10月号掲載
BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る
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- 出版社
- 発行日2020年8月4日
- 定価2,200円
- ページ数270ページ
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概要
2020年代には、技術の進化、地政学リスクの増大、金融市場の変容など、大きな変化が企業に押し寄せる。そうした中、勝者となるには経営の進化が欠かせない。そのために知っておくべきパラダイムシフトをBCG(ボストン コンサルティング グループ)が考察、企業の「パーパス(存在意義)」に基づく変革の重要性を説く。
要約
2020年代は、環境変化が加速
2020年代がスタートした。
日本企業は、次の10年をどのように位置付け、何を目指せばよいだろうか。
この問いに答えるには、まず現在の経営を取り巻く環境が大きく変化していることを再確認する必要がある。現在、顕在化しているものだけでも、次のように多岐にわたる。
①テクノロジーの進化
経済への影響が大きい進化の1つに、センシング・IoT・AI・AR/VR・5Gなどの技術進化がある。
これらの技術が統合的に活用されることで、ビジネスに関する入手可能なデータが量・質ともに飛躍的に拡大し、データの分析方法が高度化し、アウトプットの質も進化する。
②世界で起こる人口動態の変化
世界人口は、2020年の78億人から2030年には86億人に増加すると見られる。
人口増の多くは、アフリカならびにインドなどアジアの一部の国で発生するようになる。一方、欧米や日本、中国など主要経済圏においては、企業の働き手となりうる人口の伸びが減速する。
③高まる地政学上のリスク
地政学上のリスクは、過去より格段に高まる。
その要因の1つは「中国の台頭」だ。2018年末現在で、世界の生産、消費、輸出に占める中国の比率はそれぞれ28%、12%、13%。生産拠点としても消費市場としても、中国の動向がもたらす企業経営へのインパクトはかつてないほど巨大なものになっている。
また、「保護主義の高まり」もある。2010年代、世界のGDPに占める輸出の比率は30%で頭打ちとなっており、輸出基点での経済のグローバリゼーションには後退の兆しが出ている。今後、主要先進国の経済成長の鈍化が続くと、保護主義的な動きが強まるリスクがある。
④金融環境が変わる
先進国の経済成長の鈍化傾向が続く中、金融市場の大幅な資金余剰の状況が今後も継続すると考えられる。こうした中で、民間資本が経営に及ぼす影響が一段と大きくなることが想定される。