2023年4月号掲載

現代戦略論 ―大国間競争時代の安全保障―

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著者紹介

概要

中国の軍拡、北朝鮮の核開発…。今、日本の安全保障環境は悪化している。こうした緊迫した時代における、日本の戦略を論じた書だ。防衛政策のエキスパートである著者は、「現状変更」を図る中国に対して、あくまで「現状維持」が日本の大戦略上の目的だと指摘。それを達成するための「統合海洋縦深防衛戦略」を披露する。

要約

ロシア・ウクライナ戦争における戦略

 2022年2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始した。このロシア・ウクライナ戦争は、第二次世界大戦終結後で最大級の戦争となっており、現代戦略論に多くの示唆を与えている。

 この侵攻を「政治的目的を達成するための軍事行動」と捉えると、プーチン大統領なりの「戦略に基づく合理的行動」として十分説明はできる。

プーチン大統領の「戦略に基づく合理的行動」

 開戦から数カ月の段階で、ロシアの政治的目的ははっきりしていた。それは、ウクライナを事実上の属国とすることだ。その手段は軍事力であり、方法は大きく分けて、次の3つが考えられる。

 第1は、ウクライナの政権を打倒し、親ロシアの傀儡政権を樹立することだ。これは失敗した。

 第2は、ウクライナ全土を占領し、支配することである。これは実現性の見通しは極めて低い。

 敵対的な土地を支配するには人口1000人当たり20人の兵士が必要とされており、人口4000万人のウクライナには80万人の兵力が必要となる。だが、それだけの兵力をロシアは展開できない。

 第3が、ウクライナ政府に事実上の無条件降伏を強いるような停戦協定を受諾させることである。

 だが、こうした停戦協定をウクライナが受け入れるはずはない。受け入れさせるには、ウクライナの社会、経済、市民生活のすべてを破壊し、「この損害を止められるなら要求を呑むのもやむを得ない」とウクライナ側に諦めさせるしかない。

 そう考えるならば、病院や学校への攻撃も、電力インフラの破壊も、刹那的な行動ではなく、ロシアの戦略全体の中で実行されたと理解できる。

現代安全保障戦略の特徴

 かつてカール・フォン・クラウゼヴィッツは著書『戦争論』で、戦争が始まった場合、「政治的交渉」は「政治とは異なる手段」である軍事力によって遂行されると論じた。しかし、ロシア・ウクライナ戦争では、軍事力以外の要素も大きい。

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