2009年12月号掲載

戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか

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著者紹介

概要

企業は様々な戦略を立て、事業開発や商品開発などを行う。だが、グローバル化が進んだ今日、“合理的な戦略”が通用しなくなってきた。例えば、安くて品質の良い製品を作るという、従来の経済学が合理的とする戦略をとっても、成功しないことがある。本書は、こうした現象、言わば「戦略の不条理」がなぜ起きるのか、また、どうすれば回避できるかについて詳述する。

要約

「戦略の不条理」とは?

 今日、「戦略」という言葉は、様々な分野において、様々な形で使用されている。

 一般的には、ビジネスにおける成功や目標達成などに至るためのプロセスを研究することが、戦略論とされることが多い。

 しかし、このような「戦略論=勝利へのプロセス研究」という図式は疑問である。というのも、そもそも、あるビジネスに成功できるかどうかもわからないのに、どうしてその最適プロセスを研究できるのかが理解し難いからだ。

 結果というものはある程度、偶然に支配される。それを明らかにしたのは、自然科学者チャールズ・ダーウィンである。

 日に向かって伸びてゆくアサガオを見た博物学者ジャン・バティスト・ラマルクは、アサガオには意志があり、日の当たる部分を選択して、そこに養分を集中させるから日に向かうと考えた。

 だが、ダーウィンは、アサガオには意志はなく、たまたま日に当たる部分が伸びていると解釈した。つまり、どの部分が生長するかは環境が決定し、それは偶然にすぎないというのだ。

 これが、今日支配的な進化論による見解である。

 同様に、あるビジネスに成功するかどうかは、最終的に社会システムや環境によって決定される。つまり、偶然や運が大きく関係している。

 それにはまず、我々は今どのような世界で生きているのかという、我々を取り巻く世界に関する深い洞察が必要になる。

経営の世界から見える世界の変化

 経営学の歴史を振り返ると、背後に流れている世界観は大きく変化を遂げていることがわかる。

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