2022年8月号掲載

NATOの教訓 世界最強の軍事同盟と日本が手を結んだら

NATOの教訓 世界最強の軍事同盟と日本が手を結んだら ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

世界で最も成功した地域平和の実現例。それが「NATO(北大西洋条約機構)」である。1949年の発足以来、70年間、加盟国の本土は一度も武力攻撃を受けていない。この「最強の軍事同盟」の歴史、実績などを紹介する。ロシアや中国の動きにより「新冷戦」が始まりかねない今、日本の安全保障を考える上でも、示唆に富む内容だ。

要約

「NATO」は地域平和の成功例

 人類は今まで、世界平和を実現するために計り知れない努力を重ねてきた。しかし、残念ながら現時点でも世界平和には程遠い。地域限定であっても、長期的な平和の実現は非常に難しい。

 しかし、世界で1つだけ、長期的な地域平和を実現した成功例がある。それは「NATO(北大西洋条約機構)」である。

 NATO加盟国の本土は70年間、一度も武力攻撃を受けたことがない。世界史において、複数の国が加盟する同盟の全構成国が70年間も平和でいられた、というのは奇跡のような出来事だ。だから、いつか世界平和が可能になるとすれば、その原型や模範はNATOにあると言ってよい。

NATOの発足

 では、NATOとは、いかなる軍事同盟なのか?

 第二次世界大戦後、世界平和を維持するために国際連合が作られたが、国連の力だけでは平和維持が不可能であることがすぐに明らかになった。

 ソ連に占領された東欧諸国は、社会主義体制を強いられた。1948年のソ連によるベルリン封鎖(西ベルリンへの鉄道・道路の封鎖)などの敵対行為に対して、西欧諸国は新しい集団安全保障と集団防衛の仕組みづくりを検討することにした。

 1948年にイギリス、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクは、ブリュッセル条約を結んだ。この条約の目的は、ソ連による侵略に対して、連帯して共同防衛体制を整えることだった。

 しかし署名国は5カ国だけで、巨大な軍事力を持つソ連を撃退できるわけがないことをわかっていた。本当の目的は、アメリカを巻き込んで、大西洋を挟んだ集団防衛体制を構成することであり、この条約はその前段階として考えられていたのだ。

 NATOの形成に対し、ソ連はNATOが覇権主義を目指す同盟であり、国連憲章違反だ、と猛反発した。ソ連の反発から、ソ連がいずれヨーロッパで勢力圏を拡大することを狙っていたことが窺える。そして、ソ連はNATO形成に対抗して東欧の衛星国と一緒にワルシャワ条約機構を結成し、東欧社会主義国の軍事同盟体制を築いた。

北大西洋条約第5条

 NATOが保有する抑止力は、北大西洋条約の第5条と第6条に基づいている。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

データでわかる 2030年 地球のすがた

夫馬賢治 日経BP・日本経済新聞出版本部(日経プレミアシリーズ)

「世界の警察官」をやめたアメリカ 国際秩序は誰が担うのか?

高畑昭男 ウェッジ

グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界

クラウス・シュワブ 日経ナショナル ジオグラフィック社