2022年5月号掲載

ロシアと中国 反米の戦略

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著者紹介

概要

2014年、ウクライナ領のクリミアを併合後、世界で孤立を深めるロシア。そして、同国を支持する中国。独裁政権、反米という共通点もあり、結びつきは強固に見える。だが、その関係は「離婚なき便宜的結婚」だと本書はいう。舞台裏をのぞけば、互いに不信感を抱いている。そんな中露関係を、気鋭の国際政治学者が読み解く。

要約

浮上する中露:米国一極支配の終焉

 1991年12月、ソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)解体により、ソ連から15カ国が独立し、ロシア連邦がソ連の継承国となった。

 だが、冷戦の終結後も、ロシアと米国の関係は進展していない。米国を盟主とする北大西洋条約機構(NATO)は、ソ連を盟主としたワルシャワ条約機構の解散後も存続し、拡大し続け、米国や欧州連合(EU)がロシアの影響圏を脅かしてきた。

ロシアと「カラー革命」

 2001年にジョージ・W・ブッシュが米国大統領となって数年後、「米国が世界を一極支配する」というブッシュの野望が顕在化し、ロシアや中国にとって、不愉快な世界戦略が繰り広げられた。

 特に米国に反発を強めていったのがロシアだ。ロシアは9.11テロ後に米国が主導したイラクやアフガニスタンへの攻撃には反対だった。だが、米国はロシアを無視して攻撃を深化させていく。

 2003、04年には旧ソ連のジョージア、ウクライナでそれぞれ「バラ革命」と「オレンジ革命」が起きた。これらは「カラー革命」と呼ばれ、米国政府や欧米のNGOなどが支援した。

 カラー革命によって、元来、反ロシア的な性格を持っていたジョージアとウクライナでは、極端な「反露・親欧米」の指導者が誕生した。欧米勢力がロシアの勢力圏を侵害したことで、ロシアは激しく反発した。

脱「露」入「欧米」

 ジョージアとウクライナは、以前より過激な反露的外交政策をとるようになった。エネルギー政策などでもロシアをより排除する方向を模索し、またロシアも両国に対する制裁的な姿勢を強めていったことで関係は悪化の一途をたどった。

 ジョージアとウクライナの欧米への接近は顕著で、EUとNATOへの加盟も積極的に目指してきた。EU加盟はあまり現実的ではなかったが、NATO加盟は現実味をおびるまでかなり進んだ。

 NATO拡大はロシアの足元にまで及び、ジョージア、ウクライナというバルト3国以外の旧ソ連圏にまで侵食しそうな状況になっていった。

 ロシアからしてみれば、周囲を敵に囲まれる状況が、よりリアルになってきたのである。

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