2021年9月号掲載

賢い人がなぜ決断を誤るのか?

Original Title :YOU'RE ABOUT TO MAKE A TERRIBLE MISTAKE!

マネジメントコミュニケーション・心理学スキル・能力開発

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著者紹介

概要

“バイアス”。それは、私たちを合理的な判断から遠ざける心の働きだ。他者より自分の方が優れていると思う、意思決定を避けて現状維持を優先する…。こうしたバイアスは企業経営をも左右しかねない。どうすれば、それを克服できるのか。最新の行動科学と豊富な事例をもとに、バイアスと戦い、理性的な決断を下す方法を伝える。

要約

ストーリーテリング・トラップ

 優れたリーダーが、失敗することが予測できたはずの悪い意思決定を下してしまうのは、なぜか?

 この謎について、行動科学はついに答えをもたらした。人は、合理的な意思決定モデルに従わないので、ミスを犯す。しかも、ただのミスではない。予測可能なミスだ。

 この合理性からの逸脱は、「バイアス」と呼ばれる ―― 。

ストーリーが意思決定を誤らせる

 1975年、第一次オイルショックをきっかけに、フランス政府が省エネルギーを奨励した。

 この年、2人の男が国有石油企業エルフ・アキテーヌを訪れた。彼らは、「掘削せずに地下の石油を発見する画期的な方法を考案した」と主張した。その方法とは、特別な機械を装備した飛行機が空から石油を「探知する」というものだった。

 もちろん、この話はいかさまだったが、同社の研究開発部門の科学者からCEOまでが、真に受けた。そして、この新手法の試験に莫大な資金を投入した。なぜ、これほどあからさまなペテンに引っ掛かったのか?

 フランスが石油危機に見舞われていたその時、男たちは「革命的なテクノロジーにより、フランスがかつての栄光を取り戻す」というストーリーを示した。当時の状況において、そのストーリーには抗しがたい魅力があったのだ。

確証バイアス

 この詐欺事件から30年後の2004年。米国のあるスタートアップが資金を調達しようとした。その目的は、「飛行機から石油を探知する技術を完成させる」だった。

 重大な意思決定を前にすると、聡明でその道に精通したプロでも、なぜか目が曇ることがある。どちらの案件でも、投資家たちは十二分に注意を払った。しかし、事実を厳しく精査しているつもりでも、投資家たちはすでに結論を出していた。なぜなら、投資家たちは「ストーリーテリング・トラップ」に陥っていたからだ。

 私たちをストーリーテリングのトラップに陥れる精神的メカニズムには、「確証バイアス」という名前がついている。持論を支持する情報に注目し、反証となる情報は無視しようとするバイアスで、推論のミスを引き起こす原因の1つである。

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