2021年5月号掲載

ハイブリッド戦争

IT・インターネット国際・世界情勢
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著者紹介

概要

戦争は、もはや戦場にとどまらない! SNSによるプロパガンダ、重要インフラへのサイバー攻撃など、様々な手段を組み合わせた「ハイブリッド戦争」の脅威が近年高まっている。低コストで効果大。この新たな戦争に、特に力を注ぐのがロシアだ。本書は同国に焦点を当て、その実態を解説。危機意識の薄い日本人に警鐘を鳴らす。

要約

ロシアのハイブリッド戦争

 今、世界が、深刻な安全保障上の脅威と感じているものがある。「ハイブリッド戦争」だ。

ハイブリッド戦争とは

 ハイブリッド戦争とは、政治的目的を達成するために、軍事的脅迫とそれ以外の様々な手段が組み合わされた戦争の手法である。いわゆる軍事的な戦闘に加え、政治、経済、外交、プロパガンダを含む情報、心理戦などのツールの他、テロや犯罪行為なども組み合わされて展開される。

 ハイブリッド戦争は、2013年11月の「ウクライナ危機」で、ロシアが行使したものとして注目されるようになった。

 ウクライナ危機の際、ロシアは特殊部隊や民間軍事会社の民兵を送り込んだ。そして、官庁など要所を占拠し、大規模な正規軍を国境付近に集積して圧力をかけた。また、フェイクニュースを多用した宣伝戦やサイバー攻撃、経済的脅迫などあらゆる手段を組み合わせ、一方的独立をバックアップし、それにより領土併合を実現したのだ。

低コストで大きな効果

 ウクライナ危機以後、国際社会はハイブリッド戦争を大きな脅威としてとらえるようになった。

 ハイブリッド戦争は、「低コスト」「効果が大きい」「介入に関して言い逃れができる」という多くのメリットを持っている。

 低コストで大きな効果が得られるというのは、ロシアにとって極めて重要である。ロシアの軍事予算は世界第4位だが、1、2位の米中と比して、大きな差がある。そのため、少ない費用で最大限の効果を得る必要があるのだ。

 また、そのような状況では欧米と戦争をする余裕もないので、戦争を仕掛けられないよう、ロシアが行っている悪事に関して言い逃れができる状況を確保することもまた、ロシアの安全保障にとって極めて重要といえる。

ハイブリッド戦争の国家戦略化

 ハイブリッド戦争は、ロシアの国家戦略として位置づけられている。プーチン大統領は、2014年12月25日にロシアの新軍事ドクトリンに署名した。ドクトリンとは、政治、外交、軍事などにおける基本原則を意味する。

 新ドクトリンでは、現代の軍事紛争の特徴として、「軍事力と政治、経済、情報、その他の非軍事的手法が統合的に使用される」ことや、非正規の武装グループや民間軍事会社の参加、間接的・非対称的な手法の使用などが書かれており、ハイブリッド戦争が明らかに意識されている。

ハイブリッド戦争の担い手

 ハイブリッド戦争の担い手は、実に多様である。

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