2020年12月号掲載

マインドハッキング

Original Title :MINDF*CK

IT・インターネット国際・世界情勢社会・政治
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著者紹介

概要

副題は「あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア」。フェイスブックの膨大な個人情報を利用し、トランプ政権の誕生や英国のEU離脱を裏で操った組織、ケンブリッジ・アナリティカ。同社で一連の情報操作を担った元社員が、人々を洗脳し、世論を誘導する手口を明かす。ソーシャルメディアのリスクがわかる1冊だ。

要約

歴史的なデータ犯罪捜査

 2018年6月、私は議会証言のためワシントンを訪問した。テーマは、コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)だ。

 軍事心理戦を得意とするCAは、フェイスブックやロシア、トランプ選挙対策本部、ブレグジット(英国のEU離脱)国民投票が複雑に絡み合う世界で暗躍してきた。フェイスブックのデータを兵器として使い、アメリカ人が敵対的な外国政府のプロパガンダにさらされる状況をつくり出した。

 私は元研究部長として、同社の悪行を示す証拠を携えていた。

内部告発の理由

 CAに加わる前、大学卒業後の最初の職場は、ロンドンに本拠を置くSCLグループだった。英国国防省と北大西洋条約機構(NATO)軍に協力するコンサルティング会社だ。

 西側陣営がオンライン上で勢力を増す過激派グループに手を焼く中、SCLは過激派を特定し、抑え込むためのツールを開発するプロジェクトを受注した。私は、その責任者になった。

 SCLでの仕事は刺激的だった。同社はデータやアルゴリズム、オンラインナラティブ(語り)を駆使して、過激主義の台頭を阻止し、西側同盟諸国のサイバー防御体制を再構築しようとしていた。

 だが2014年、事態が急展開した。億万長者が我々のプロジェクトを丸ごと買い取り、「アメリカ版過激派運動」の展開に乗り出したのである。

 ここでCAが表舞台に登場し、心理プロファイリングを兵器化した。それが社会にとんでもない被害をもたらすのは明白で、私は見過ごすわけにはいかなかった。だから、内部告発を決意した。

すべてはつながっていた

 議会証言の3カ月前、2018年3月17日のこと。英ガーディアン紙や米ニューヨーク・タイムズ紙などが、共同取材の成果を一斉に報道した。起点は私の内部告発だ。これによって、歴史的な「データ犯罪捜査」が始まった。

 この年の2月、米大統領選挙に介入したとしてロシアの市民と企業が起訴された。誰もがトランプ陣営とロシアの間で何が起きたのかを知りたがったが、全体像を描ける人はいない。そんな中、私は証拠を提出した。これによって、トランプやフェイスブック、ロシア諜報機関、国際ハッカー集団、英国のブレグジットがCAとつながった。

 トランプとブレグジットの両陣営は同じ戦略を取り、同じテクノロジーを使い、同じ人的ネットワークに依拠していた。しかも、背後ですべてを操っていたのはロシアの勢力だったのである。

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