2021年5月号掲載

アメリカを動かす宗教ナショナリズム

国際・世界情勢社会・政治文化・思想・歴史
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著者紹介

概要

アメリカの社会や政治は、「宗教」を抜きに語れない。中でも大きな影響力を持つのが、聖書を絶対視し、中絶に反対し、進化論を否定するキリスト教の「福音派」だ。政治的には、トランプ前大統領誕生のカギとなった。この教派はいかに発展し、いつから政治化したのか。歴史を遡り、地理的な条件を考察し、実態を明らかにする。

要約

「福音派」とその歴史

 アメリカでは、宗教ロビーと呼ばれる宗教票が大統領選挙に大きな影響を与える。

 アメリカの政治をも動かす宗教ナショナリズムとは、いかなるものか ―― 。

聖書を原理主義的に解釈する福音派

 アメリカは、人口の約85%がキリスト教徒だ。内訳は、カトリック23%、プロテスタント55%となっている。つまり、人口の半数がプロテスタントである。

 プロテスタントは、聖書の解釈によって主流派と福音派に大別できる。主流派とは、アメリカ聖公会など、いわゆる正統派のプロテスタントだ。これに対して、プロテスタントが発展する過程で生まれた新たな宗派の1つに、福音派がある。

 福音派は、聖書の福音書を信じる一派である。「福音」とはキリストの言葉のことで、新約聖書のマルコ、マタイ、ルカ、ヨハネによる「福音書」は、キリストの生と死、そして復活を遂げるまでの言行を弟子たちがまとめた記録である。

 アメリカでは、福音書を文字通り解釈して、絶対視する原理主義的なキリスト教徒を「福音派」と指す場合が多い。中絶に反対し、進化論を否定し、神による創造論を信じる人たちである。そのため、「原理主義」とも呼ばれている。

 しかし、福音派の定義は曖昧で、現状は「宗教右派」「宗教保守」「原理主義」「福音派」といった言葉は、ほぼ同じ意味で使われている。

 「原理主義」という言葉は、聖書に書かれていることを絶対視し、「この通りに実行することが真の救いの道であり、キリスト教徒にふさわしい」と信じている者たちに使い、元々はキリスト教に起源がある。その後、イスラム教徒に使われるようになり、コーランを絶対視し、それを実行する者を指すようになった。

 キリスト教原理主義は、例えば「聖書で子供をたくさん生むことを推奨している、ゆえに中絶は罪と解釈し、中絶を行う産婦人科の医療施設を銃撃する」などの暴力的な行為に及ぶ場合もある。

福音派の歴史

 では、福音派はどのように発展していったのか。

 そもそもカトリックは伝統的に信者が直接聖書を読むことはなく、聖職者が聖書を信者に読み聞かせる場合が多かった。

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