パンデミック新時代

Original Title :THE VIRAL STORM:The Dawn Of A New Pandemic Age

科学・技術・環境社会・政治
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著者紹介

概要

動植物、細菌など、あらゆる生物に宿り、地球上どこにでもいるウイルス。このたびのコロナ禍をはじめ、過去、多くの死をもたらすパンデミックを何度も引き起こした。だが、発見されてからまだ100年余りということもあり、いまだ不明な点も多い。この最小の微生物であるウイルスの世界、拡散のメカニズムを、本書は詳説する。

要約

ウイルスに満ちた星

 マルティヌス・ベイエリンク ―― 。後に「ウイルス学」となる研究分野の基礎を築いた、オランダの微生物学者である。

 19世紀終わり、ベイエリンクはタバコの木の成長を妨げる病気、タバコモザイク病に興味を持った。それは他の感染症と同じ広まり方をするが、顕微鏡でも原因となる細菌は見つからなかった。当時、感染症の第一容疑者は細菌だったが、彼は新しい形の生命が原因だと考え、それをラテン語で「毒」を意味する「ウイルス」と名づけた。

 その言葉自体は14世紀から使われていたが、微生物と結びつけて使ったのは彼が最初だ。

ウイルスとは?

 ウイルスは、2つの基本部分で構成されている。RNAかDNAという遺伝物質と、それを守るタンパク質の外皮だ。

 ウイルスは自らを成長させ、複製させるメカニズムを持っていないので、生き残るためには細胞生命体に感染しなければならない。

 また、ウイルスは既知の微生物の中で最小だ。そして多様な生命であり、わずか110年前にベイエリンクによって発見されたばかりなので、まだほとんど何もわかっていない。

ウイルスの多様性

 ウイルスは、藻類、細菌、植物、昆虫、哺乳類などあらゆるものに宿っている。すべての細胞生命が、少なくとも1種類のウイルスを宿していると考えられている。人間をはじめ多くの細胞生命が多くの種類のウイルスを宿しており、ウイルスは海にも陸にも地中深くにもどこにでもいる。

 発見された最大のウイルスでも600ナノメートルしかなく、顕微鏡でしか見えない。とにかく小さいが、地球にいるその数は膨大だ。ノルウェーの大学のチームが、電子顕微鏡を使って海水中のウイルスを数えたところ、1ミリリットルあたり2億5000万もいたという。

生態系の中のウイルス

 私たちはウイルスのことを有害なものと見がちだが、実際は世界の均衡を維持するために、重要な役割を果たしている。

 例えば、海の生態系においてウイルスは毎日、細菌の20~40%を殺していて、その結果としてアミノ酸や炭素、窒素の形で有機物の構成要素が放出される。こうしてウイルスは、どの生態系においても、細菌がそこで支配的とならないようにして、多様性を促進しているのだ。

 ウイルスがどこにでもいることを考えると、それが破壊的な役割だけを任されているはずはない。今後、研究が進めば、ウイルスは感染した多くの生命に恩恵を与えていることがわかり、生態系における重要性が明らかになっていくだろう。

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