2020年7月号掲載

ウイルスは悪者か お侍先生のウイルス学講義

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著者紹介

概要

スペインかぜ、エボラ出血熱、そして新型コロナウイルス感染症…。パンデミックをもたらすウイルスは、人間にとって脅威だ。だが、ウイルスを研究する著者によれば、感染の広がりは人が自然界に入り込みすぎたからでもある。ウイルス自体は「悪者」ではないとし、生物とも無生物ともいえない、この曖昧な存在の本質に迫る。

要約

ウイルス感染とは?

 ウイルスとは何か ―― 。

 この問いに、正しく答えることは簡単ではない。

 インフルエンザの流行が毎年きまって発生し、エボラ出血熱のアウトブレイク(突発的な流行)がメディアを賑わすことはあっても、それらの感染症を引き起こすウイルスについてきちんと理解している人は、そう多くはない。

ウイルスの「生物的」な側面

 ウイルスとは、生物と無生物の中間に位置する極めて「曖昧な存在」である。

 ウイルスは、単独で自律的に生きていく(増える)ことはできない。そういう意味で、ウイルスは「無生物的」である。

 しかし、生きている細胞=「宿主」に侵入すると、その細胞の仕組みを利用して「自己複製」を始める。その振る舞いは、「生きて」いるようだ。

 この、ウイルスが宿主の細胞に侵入し、増殖している状態、あるいは増殖後、宿主内に持続的に存在している状態のことを「感染」という。

ウイルスの感染経路

 ウイルスが宿主に感染すると、細胞や臓器の正常な働きが阻害され、身体全体のバランスが損なわれる。その結果、現れる症状が病気である。

 例えば、ヒトのインフルエンザウイルスは、咳やくしゃみなどを介して上気道の粘膜の細胞に感染し、咳や発熱、肺炎などを引き起こす。また、ノロウイルスは飲食物を介して消化管の細胞に感染し、下痢や嘔吐などの消化器疾患をもたらす。

 以上は主に、ウイルスが当初の感染部位にとどまるケースだが、宿主の体内に侵入した後、ウイルスが血液やリンパ液、神経を介して他の臓器に移動あるいは感染を広げるケースもある。

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