2019年6月号掲載

能力を磨く AI時代に活躍する人材「3つの能力」

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著者紹介

概要

AI(人工知能)が普及し、人間の仕事の多くが奪われる。そんな厳しい時代が迫っている。では、AIに淘汰される人とされない人、何が両者を分かつのか。それは、人間だけが持つ「3つの能力」(職業的能力・対人的能力・組織的能力)を磨くか否か。こう指摘する田坂広志氏が、これらの能力を身につける方法を具体的に語る。

要約

「知的職業」の半分が失業する時代が来る

 まもなく「AI革命」の嵐が到来する。その結果、現在の予想を遥かに超える失業が発生する。従って、我々はその前に、AIに淘汰されない高度な能力を身につけなければならない。

 では、なぜ、深刻な「AI失業」が起こるのか。

 それを知るためには、まず、次の2つのことを理解しておく必要がある。

知的労働の現場で人間に求められる能力は何か

 現在の知的労働の現場において、人間に求められているものは、次の「5つの能力」である。

  • ①基礎的能力:知的労働に取り組む時の知的集中力や知的持続力。
  • ②学歴的能力:論理的思考力や知識の修得力。
  • ③職業的能力:発想力、企画力、会議力、プレゼンテーション力、営業力、交渉力など。
  • ④対人的能力:相手の考えを理解し、気持ちを感じ取るといったコミュニケーション力。
  • ⑤組織的能力:組織をマネジメントできる能力。

5つの能力のうち、AIが代替していく能力は何か

 一方、AIは、人間の能力に比べて圧倒的な強みを持つ、次の3つの能力を持っている。

  • ①無制限の集中力と持続力:どれほど膨大な情報でも、疲れを知らず、処理することができる。
  • ②超高速の論理的思考力:すでにAIは、チェスなどの対局で人間の最高の頭脳に勝利している。
  • ③膨大な記憶力と検索力:膨大なデータを記憶し、必要な情報を瞬時に取り出すことができる。

 この3つの強みを理解すれば、先の人間に求められる5つの能力のうち、①基礎的能力、②学歴的能力の大半がAIに置き換わってしまうことを理解し、危機感を覚えるのではないだろうか。

 逆に、③職業的能力、④対人的能力、⑤組織的能力を発揮して仕事をしてきた職種や人材は、それがAIに置き換え難い能力であるため、AI革命の時代にも、淘汰されずに生き残る。

 

「職業的能力」とは

 職業的能力の本質は、経験や体験を通じてしか掴めない「体験的智恵」であり、これは、AIによって容易に置き換えられない能力である。

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