グリフィス版 孫子 戦争の技術

Original Title :SUN TZU The Art of War, First Edition

社会・政治文化・思想・歴史
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著者紹介

概要

米国海兵隊に所属し、退役後に軍事研究家となった著者による『孫子』の論考である。1963年に発刊され、西側諸国では歴史的名著として評価されている。戦争における最善の策は、「戦わずして勝つ」こと。そんな普遍の原理を説き、毛沢東はじめ多くの武人に影響を与えた「戦争論の古典」を、元軍人ならではの視点から読み解く。

要約

『孫子』の成立

 紀元前1世紀、司馬遷は不朽の歴史書『史記』を完成させた。

 『史記』によれば、紀元前6世紀(前500年前後)、孫子(孫武の敬称)は、彼が将軍として仕えていた呉の国王・闔閭に、自著『孫子』を献上したという。だが、何百年もの間、中国の多くの学者はこれを作り話ではないかと疑問視していた。

『史記』の記述を疑う

 孫子の伝記の信頼性に対して、最初に疑いの目を向けた人物は、宋代の学者、葉適である。彼は、孫子が実在の人物ではなく、著作とされる『孫子』も「戦国時代(紀元前453~同221年)の諸家の説をまとめたものであろう」と結論付けている。

 その裏付けとして、孫子の存在について、『春秋左氏伝』(歴史書『春秋』の注釈書)には何も記述がないという事実を指摘する。

 また、春秋時代の軍隊を指揮していたのは、君主やその一族、有力な側近に限られ、専門職的な将軍が登場するのは戦国時代以降だという。

『孫子』はいつ、誰が書いたのか?

 『孫子』には、「武具を身につけた歩兵10万人」という表現が出てくる。だが、この規模の軍隊は紀元前500年以前の中国では知られていない。

 また、孫子が論じる軍隊は、独立行動も協調行動も可能な戦術部隊で編成されている。春秋時代に徴集された農民兵は軍事訓練を受けていないので、このような軍事行動ができたとは思えない。

 こうしたことを踏まえれば、『孫子』の成立年代は、司馬遷説より少なくとも1世紀後、すなわち紀元前400~同320年だと考えて間違いない。

 では、この史上最古の戦争論は誰が書いたのか。

 戦国時代に生きた無名の戦略家が編集したものかもしれない。例えば、孔子とその門人の言行記録を編集した『論語』のように。

 だが、その独創性や一貫した文体などから判断すれば、決して断片を寄せ集めたようなものではなく、戦争の修羅場を何度も経験した想像力豊かな一個人の手になるものに違いないだろう。

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