「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明

イノベーション経済・経済学
  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2018年5月28日
  • 定価
    1,800円+税
  • ページ数
    327ページ
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著者紹介

概要

ハーバード大学のクリステンセン教授著『イノベーションのジレンマ』(邦訳)。この世界的ベストセラーは「理論も実証もゆるゆるだ。経済学的に煮詰める必要がある」。こう評する、イェール大学の気鋭の経済学者が、約10年に及ぶ研究成果を披露。なぜ優良企業が新世代の技術競争に敗れ去るのか、真の理由が解き明かされる。

要約

創造的破壊と「イノベーターのジレンマ」

 ビジネスの世界は、没落企業や衰退産業であふれている。例えばアップル社のスマートフォンが出ると、従来型の携帯電話が消えてゆく。技術の世代交代に伴って、企業や産業も世代交代する。それを、経済学者は「創造的破壊」と呼ぶ。

 創造的破壊は、今に始まったことではない。そして、敗者たちも手をこまぬいていたわけではない。ところが気付けば、彼らの姿は消えている。

 彼らは、無能だったのか。

「イノベーターのジレンマ」

 1997年に『イノベーターのジレンマ』(邦訳『イノベーションのジレンマ』)がベストセラーになったハーバード大学のクレイトン・クリステンセンは、このテーマに挑んだ経営史家である。

 クリステンセンは、ハードディスク駆動装置(HDD)業界を舞台に、旧世代の「勝ち組」企業が抱える組織的・心理的な問題を指摘した。

 彼は言う。勝ち組の優良企業は、大口顧客を多く抱えている。そのため大口顧客が求める「主力製品」には力を入れる。だが、それ以外の製品は社内的に傍流になってしまう、と。

 主力製品が世間でも主流である間は問題ない。しかし、新種の製品が登場し、世の中に広まっていくような局面では、勝ち組企業の対応は後手に回りがちだ。経営陣には旧来の主力部門出身者が多いから、過去の成功体験に引きずられ、新時代への対応スピードが遅くなる ―― 。

「バカだから失敗した」では説明不足

 上記のような、既存企業における組織的・心理的バイアスが、クリステンセン仮説の主眼だった。

 だが、私をはじめ経済学者は、この手のストーリーが大嫌いだ。なぜなら、先の説明は煎じ詰めれば、「既存企業は失敗した。その原因は、経営陣がバカだったから」と言っているだけだからだ。

 「能力」と「結果」の因果関係は、簡単には実証できない。業界誌を読み、経営者にインタビューしたくらいでは(=クリステンセンの分析手法)、本来全く歯が立たないはずの実証課題だ。

 そこで本書では、しっかりデータを集め、論理と現実とを丁寧に繋いで、分析してみよう。

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