2016年11月号掲載

デジタルトランスフォーメーション 破壊的イノベーションを勝ち抜くデジタル戦略・組織のつくり方

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著者紹介

概要

本格的なデジタル時代が訪れ、ITを用いた新サービスや企業が続々と誕生している。そして、グーグルの自動運転車の開発に見られる通り、既存の産業の“破壊者”となりつつある。今や企業が生き残る上で、「デジタルトランスフォーメーション」(デジタルによる変革)は欠かせない。本書は、その必要性と具体的な処方箋を示す。

要約

デジタル技術が変える近い将来

 本格的なデジタル時代に突入した。デジタル(IT)を活用した新しいサービスや企業が、次々に生まれている。

 IoT(モノのインターネット)も進化を続け、2020年には数百億台のデバイスが接続されるという。IoTはすでに大容量のデータ解析を行うビッグデータ解析との組み合わせにより、工場内製品の不良率の低減などに効果を上げている。

 IoTは今後、自動車の「コネクティッドカー」、住まいの「コネクティッドホーム」のように、我々の生活をより便利・快適にする領域での活用が注目されている。車や家の中の状況を、様々なセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析する。緊急時の通報だけでなく、温度調節など、外出先からの遠隔操作を可能にする。

 農業、漁業、林業といった第1次産業においても、IoTが生産性改善に貢献することが期待されている。土壌や海水における温度や栄養分などの環境を分析することで、生物の成長を促進する。

産業構造を変革する力

 こうした動きを背景として、産業構造が大きく変わりつつある。これまでITは、既存の事業や業務を効率化するためのツールであった。だが、ITの進化は、既存の産業を大きく変える力を持つようになった。

 例えばFinTech(フィンテック)とは、IT産業が金融事業を行うことにほかならない。このため金融機関は一様に危機感を強め、新規サービスの検討に着手している。

 また、自動運転技術の開発企業の中にはIT企業の名前が躍り、近い将来日本の主力である自動車産業を揺るがす可能性を秘めている。その影響は自動車メーカーだけでなく、その周辺で事業を展開している企業にまで及ぶ。例えば、部品メーカー、保険、ローンなど数え上げるとキリがない。

カスタマーエクスペリエンスの重要性

 進化したのは技術だけではない。それを利用する顧客の考え方や行動も進化した。生活が豊かになってきた結果、より快適で楽しい経験を得ることができる製品やサービスを求めるようになった。

 顧客は自身のCXをもとに、サービスに優劣をつける。顧客としての感想をソーシャルメディアに流すことで、その顧客経験はネットの世界を介してあっという間に広がる。それを見た消費者が「面白い」と思えば、一斉に同じ製品やサービスを使い始める。

 高度化する顧客の欲求に応えていくためには、顧客が何に「快適性」「面白さ」を感じるのか、企業がアンテナを高く張っておく必要がある。「顧客が何に価値を感じるのか」をきちんと考えておかなければ、顧客からの支持を失う。

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