2015年12月号掲載

データで読み解く中国の未来 中国脅威論は本当か

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著者紹介

概要

近年、日中関係が思わしくない。嫌中感情が高まっているが、食料問題の研究者として何度も訪中し、同国の実情をよく知る著者は言う。日本の針路を誤らせないためには、中国について「感情に流されず、冷静に分析する必要がある」。本書では、中国政府や国際機関などのデータをもとに、「急速に伸びる輸出」と「膨張政策」の2つの観点から、中国の未来を見通す。

要約

安い石炭を使うから強い

 偏見のない目で、中国に関するデータを見ると、これまで見えなかったことが浮かび上がって来る。それは、日本にも関連する恐ろしい事実だ。

貿易赤字の日本、輸出額が急増する中国

 2013年、2014年の日本の貿易赤字は10兆円以上。最大の原因は、円安なのに、輸出が減っていることだ。2012年に8013億ドルだった輸出額は2014年には6944億ドルと、13%も減少した。日本の輸出産業は、急速に競争力を失っている。

 その一方、 21世紀に入った頃から、米国、中国、ドイツの輸出額は大きく伸びている。

 中でも、中国の伸びが著しい。2001年は2994億ドルだったが、2013年は2兆2090億ドル。12年で約8倍だ。中国の輸出額は、2012年には米国をも抜き去り、現在、世界第1位である。

石炭消費大国

 経済成長とエネルギー消費量の間には相関がある。中国のエネルギー事情を見ると、その消費量は2004年頃から急増している。これは、輸出額やGDPの増加傾向と一致する。

 一方、米国、日本、ドイツではエネルギー消費量が減少傾向にある。これは、地球環境問題を意識して省エネを進めているためである。

 中国のエネルギー消費量は2009年に世界第1位になった。世界の1次エネルギー消費量の約2割を消費し、地球環境問題など気にかけることなく、経済活動を行っている。

 中国のエネルギー源の大半は石炭で、全エネルギー消費量の68%を占めている(2012年)。

 基本的に石炭の価格は、それを採掘する労働者の人件費である。中国の人件費は安いから、産出コストも安い。中国はその安価な石炭をエネルギー源にして、工業製品を生産している。だから価格が安い。それが輸出競争力を支えている。

 

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