2015年11月号掲載

China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」

Original Title :THE HUNDRED-YEAR MARATHON

China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」 ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

中国の指導者の考え方も我々と同じ。中国は民主的で平和的な大国になる ―― 。米国の政治家や外交官は、こんな仮説を信じてきた。だがそれは誤りだったと、対中政策に深く関わってきた著者は言う。実は世界覇権を目指し、着々と手を打っていたのだ。本書では、その戦略、中国共産党革命100周年の2049年までに世界一の強国になるという中国の野望を暴露する。

要約

間違っていた前提

 1971年、ニクソン大統領は中国と国交を結んだ。以来、米国の対中政策を決めるのは、主に中国と「建設的な関係」を築こうとする人々だった。民主党、共和党、どちらの大統領も、中国と連携し、その発展を助けることが大切だと考えた。

 私も数十年にわたって、技術と軍事の両面で中国を援助することを政権に促してきた。その間、私は、米国の外交官と学者が共有する仮説を信じ込んでいた。それは、次のようなものだ。

 「中国は、私たちと同じような考え方の指導者が導いている。脆弱な中国を助けてやれば、中国はやがて民主的で平和的な大国となる」

 だが、この仮説は間違っていた。現在、その間違いが、日に日に明らかになっている ―― 。

つながりを持てば、協力がもたらされる?

 これまで私たちは、中国とつながりを持てば、広範な政治的問題について協力を引き出すことができると信じていた。貿易や技術供与によって中国の発展を後押しすれば、中国は世界の秩序の問題について、歩み寄りを見せるはずだった。

 しかし、そうはならなかった。中国はスーダンや北朝鮮の反欧米政府にライフラインを提供してきた。また、中国は、北朝鮮とイランの核開発計画の査察に協力しようともしない。

中国は民主化への道を歩んでいる?

 この30年で中国は変化したが、その政治システムは民主的な方向へは進まなかった。

 30年以上にわたって中国についてリポートしてきた作家のジェイムズ・マンはこう警告する。

はかない花、中国?

 1996年に、私は米国代表団の1人として訪中し、中国の著名な学者との意見交換を行った。

 その場で私たちは、「中国は経済と政治の深刻な危機に直面し、崩壊の危険性が高まっている」と聞かされた。学者たちは、深刻な環境汚染や政府の指導者の無能などを指摘した。私たちは彼らの率直さと悲観的な予測に驚き、このひ弱な中国を助けなければと、米政府に強く働きかけた。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)

「世界の警察官」をやめたアメリカ 国際秩序は誰が担うのか?

高畑昭男 ウェッジ

危機と人類〔上〕〔下〕

ジャレド・ダイアモンド 日本経済新聞出版社

白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」

渡辺 靖 中央公論新社(中公新書)