2015年7月号掲載

生物学の「ウソ」と「ホント」 最新生物学88の謎

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著者紹介

概要

シーラカンスはなぜ進化しないのか? 哺乳類はなぜ長生きできないのか? クマムシはなぜ不死身なのか? がんは放置しても治療しても予後に差はない? 生物をめぐる根源的な疑問から、不思議な生命現象の仕組みまで。最新の知見を基に、生物学の謎についてわかりやすく説く。著者は、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍する、生物学者の池田清彦氏。

要約

最新生物学の謎

 生物学の領域は広く、全貌を把握することは無理だ。しかし、生物の基本原理さえ理解していれば、様々なトピックスを聞いても納得できる ―― 。

生命はどのように誕生したのか

 生命は38億年前に誕生したといわれている。地球の歴史は46億年前に遡れるので、生命誕生まで8億年の歳月を要したことになる。

 小さな惑星が衝突を繰り返して地球は徐々に大きくなり、地球生成の最終段階で火星大の惑星が衝突し、このエネルギーで地球の岩石が溶けてマグマの海ができたと考えられている。

 最初期の地球は火の玉であったことは間違いないようだ。その後、表面が冷えて水蒸気の一部が液体に変わり、マグマの海は水の海に変わった。そして、海の底で生命が誕生したのだ。

 生命がどんなプロセスで誕生したかはよくわかっていない。生命にとって最も重要な分子はタンパク質とDNAだが、タンパク質を作るにはDNAが必要で、DNAが複製されるためにはタンパク質が必要だ。この2つの重要な分子がどのようなプロセスで生じて、どのようにして相互作用を始めたかの詳細はまだヤブの中だ。

 ただ、最初に現れた生命がバクテリアであることは間違いない。バクテリアが誕生したのは、海底の火山活動によって熱水が噴出している熱水噴出孔の周りで、初期のバクテリアはここから出る硫化水素などをエネルギー源にして有機物を合成していた。これらのバクテリアは高温耐性をもち、摂氏100度以上の熱水の中でも死なない。

 バクテリアだけの時代は、今から20億年前に真核生物が出現するまで続いた。バクテリアの細胞は核をもたず、細胞の中に目立つ構造物はない。

 真核生物は、いくつかのバクテリアが合体して共生を始めた結果誕生したが、そこに至るまで18億年もかかった。ということは、バクテリアから真核生物への進化は失敗の連続だったのだろう。真核生物が出現しても、多細胞生物が出現するまでに、さらに14億年もかかっている。複雑な生物を作るのがいかに大変だったかよくわかる。

シーラカンスはなぜ進化しないのか

 すべての生物種は寿命をもち、長くて数百万年しか存在できない。ある種は新しい種を生み出す母種になって、1つ以上の種に変化するが、ある種は別種に進化できずに絶滅する。

 シーラカンスは中生代末に恐竜と共に絶滅したと思われていたが、1938年に南アフリカの東海岸で現生種のシーラカンスが見つかり、世界は騒然となった。その後、インド洋の西に広く分布していることがわかり、さらにインドネシア近海から別種が発見され、現生種は2種になった。

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