ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー

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概要

今日、米国では経営学の「科学化」が進む。各種データを集め、統計的手法を駆使する、実証主義的な経営学が主流で、日本で人気の高いドラッカー経営学は軽んじられている。そんな傾向に、異を唱えた書。経済合理的マネジメントだけでは、効率性を追求して不正を犯すなどの不条理に陥るとし、ドラッカーの説く哲学的で人間主義的なマネジメントの有用性を示す。

要約

経営学の科学主義とドラッカー

 現在、米国では人文学の危機が囁かれている。スタンフォード大学の人文学専攻の学生は、全体の15%。ハーバード大学でも、最近10年で人文学を専門とする学生は20%も減少したという。

 この傾向は、リーマンショック以降、若者が就職難となり、就職に強いコンピューター・サイエンスや理科系への進学が増えているからでもある。

 また近年、大学の授業料が高騰し、ほとんどの学生が学生ローンを利用している。このローンを返済するためには、大学卒業後、すぐに給与の高い職に就く必要がある。それゆえ、人文系よりも就職に有利な理系に学生が集まるのである。

経営学における科学主義

 この最近の科学主義的傾向に同調しているのが、経営学における科学主義である。

 フィナンシャル・タイムズ紙の記事によると、今日、米国では短期的な株主価値最大化や短期的利益最大化は社会にとって良くないという考えが、徐々にコンセンサスになりつつあるという。実際、多くの企業は、長期的で持続可能な戦略や自然環境の保護について常に考えている。

 にもかかわらず、同紙によれば、有名ビジネススクールに入学した、世界中の優秀な学生や社会人は、卒業すると、その思考が変化するという。

 2011年のブルッキングス研究所の調査によると、彼らが米国のMBAを卒業する時には、たいてい、企業の目的は「株主価値最大化」「利益最大化」と考えるようになるという。これは、現在のMBA教育は、いまだ株主価値最大化モデルや利益最大化モデルを中心にしたものだということだ。

 企業の目的は利益最大化、株主価値最大化。この単純な仮定から、容易に数理モデルが展開できるので、このような経済合理的マネジメントが科学的と見なされることになったのだ。

 さらに、MBAコースの講義では経験的で科学的な厳密性が求められた。そして、この傾向から、統計学によって経験的に実証された命題だけが科学的とされ、そうでないものは非科学的で無意味と見なされる傾向が形成された。

 以上のような状況なので、今日、米国のアカデミックな世界では、利益最大化、株主価値最大化を達成するために、経済合理的マネジメントが有効であり、数学的で統計的に実証されているマネジメントだけが、科学的であるとされる。

なぜ、ドラッカーのマネジメントが必要か

 このように、経営者が経済合理性を追求し、経済合理的マネジメントを展開すると、企業が一見発展するように思える。だが、実はそうならない。

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