2013年8月号掲載

人間はなぜ戦争をやめられないのか 平和を誤解している日本人のために

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著者紹介

概要

戦争は悪、非道徳の極み ―― 。こう考える人は多いのではないか。しかし、本書は、戦争を「善悪」や「良心」といったレベルで捉えるのは愚かだという。戦争は政治の延長であり、外交の一手段。だから国家は、「戦争を設計する」という発想を持たなければならない、と説く。日本を戦場としないために知っておくべき、理想論ではない、現実に即した戦争論。

要約

人間は、なぜ戦争をするのか

 湾岸戦争からアフガン戦争、さらに同時多発テロ、そしてイラク戦争へ ―― 。冷戦が終結しても、この地上から戦争はなくならない。つくづく人間は戦争をやめられない動物と見える。

「軍拡競争」と人間の脳構造の因果関係

 人間は、なぜこれほど戦争をするのか。それは脳に前頭葉があるからだ、と心理学者は説明する。

 前頭葉は物事の発生した順番を記憶できる回路で、発生した順番を記憶できるのは時間感覚につながる。そして次の段階では、後に起きたことは前に起きたことの結果であると考えるようになる。仏教でいう因果関係の発見である。

 そうして偶然ではない因果関係を把握すると、次は、この因果法則を使って将来を予測したり、対策を考案したりする。それによって人類は大繁栄したが、この回路はまだ不完全で誤判断が多い。

 この前頭葉という回路を使うと、人間は“自信過剰”や“考えすぎ”という過ちを犯す。そのいい例が軍拡競争である。

 A国は経済的に豊かだが軍隊を持っていない。隣のB国は貧乏で軍隊を持っている。

 となると、A国は「いずれB国は自分の国を攻めるに違いない」と考える。実はB国には、全然その気がないのに、A国はそう考えて軍隊を持つ。

 となると、B国はB国で、「A国がいずれは攻めてくるのではないか」と軍備を増強する。それがエスカレートして、どちらかがやられる前にやろうと考えて、先制攻撃を仕掛ける。

 これが「理由なき戦争」が起こる一番大きな原因で、人間はそれを回避するために親善外交や相互査察、国際会議などの技術を発達させてきた。

国家はこうして戦争に突入する

 戦争は、国家と国家が行うものである。

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