2012年12月号掲載

迫りくる日中冷戦の時代 日本は大義の旗を掲げよ

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著者紹介

概要

今、日中関係は尖閣事件を機に、緊張が高まっている。そして、中国の膨張戦略に対し、米国も新国防戦略で「中国の膨張の抑止」を掲げた。著者は、こうした状況を「新たな冷戦」の始まりと見る。その主役、中国と、日本はいかに対峙してきたか、今後どう対応すべきか。中国に根強く残る宗主国意識など、歴史的な考察も踏まえ、「日中冷戦の時代」を読み解く。

要約

米中新冷戦時代の幕開け

 今、アジアを舞台に新たな冷戦が始まった。

 今回の冷戦の“主役”は、ロシア(旧ソ連)でもなければアメリカでもない。中国だ。

 急速な経済成長を遂げた中国が、国力の増大にまかせてアジア太平洋への露骨な膨張政策をとったこと、これが全ての始まりだった。

2010年を忘れるな

 最初の衝撃は2010年9月7日に襲ってきた。尖閣諸島沖における中国漁船の「衝突事件」だ。

 中国政府はこの事件に対する「対日懲罰」として、日本企業(フジタ)の社員4人を拉致・拘束し、レアアースの「対日全面禁輸」という実力行使に出て、日本の法治主権も踏みにじった。これは国際外交上、あからさまな敵対行動という他ないものであった。

 続いて、11月1日、ロシアのメドヴェージェフ大統領(当時)が国後島を訪問した。ソ連時代を含めロシアの最高指導者、国家元首の地位にある人間が、日本との重大な係争地に足を踏み入れたのは戦後初めてであり、これだけで日露関係が根底から壊れても当然の出来事であった。

 それから一月も経たない11月23日、今度は韓国領土である大延坪島で、北朝鮮軍が白昼堂々、市街地、民間人への無差別攻撃を行った。

 北朝鮮は、韓国やアメリカだけではなく、国際世論がどう受け止めるかについても当然考えたはずだ。しかし、それでもあえて踏み切った。

新冷戦の主役は中国

 尖閣事件は明らかに中国の膨張戦略によって起きたことだが、他の2つの事件についてもそう言えるのである。

 実は、現在のロシア外交は「向中一辺倒」と言ってもよいほど、中国に配慮したものになっている。かつて朝鮮戦争への中国軍の参戦において、スターリンの差し金で毛沢東が動いたように、今日、中朝露の全体主義ブロックの総本山となった北京が、陰に陽にモスクワを動かしているのだ。

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