2011年9月号掲載

革命と独裁のアラブ 誇りと甘えが交錯する中東の社会と心

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著者紹介

概要

チュニジアの「ジャスミン革命」を契機に、中東諸国では“民主化”の名のもとに革命が相次いで起こった。今回の出来事について、長年、アラブ世界を研究してきた著者は、革命に乗じてこれらの国々に関与して石油利権を奪おうとする欧米の策略が、その背景にあるのではないかと指摘。世界情勢のカギを握る中東の真の姿を、豊富な現地取材を基に明らかにする。

要約

今、中東で何が起きているのか?

 最近、中東世界がめまぐるしく動いている。

 チュニジアという小国で起きた革命の火の手は、エジプト、リビアに飛び火し、イエメン、バハレーン、ヨルダン、シリア、オマーン、そしてサウジアラビアまで延焼しようとしている。

 「民主化革命」の名のもとに、中東で今、一体何が起きているのか?

“革命など起きるはずがない国”で起きた革命

 チュニジアは、北と東が地中海に面した人口1000万人余りの小国である。食料自給率は100%。油田も鉱物資源もあり、中産階級が多い国家だ。

 モバイルの普及率は90%。他の中東諸国に比べると、国民は文化的な暮らしをしている。革命など起きるはずがないと思われていた国だった。

 だが、2010年12月のこと。同国の地方都市の青空市場で無許可の野菜売りをしていた青年が、女性警察官にとがめられ、野菜を蹴飛ばされた。

 そこはアラブの男である。公衆の面前で笑いものにされた青年は、油をかぶって焼身自殺をした。

 その声と映像がモバイルを通じて全国に流されると、瞬く間に各地で抗議のデモ、暴動が起きた。

 情報はあっという間にチュニジア全土に広まり、商店略奪や鉄道駅放火が勃発した。

 この時のヒラリー・クリントン米国務長官のコメントに、まさに米国の本音が見えた。「米国は民主主義を支持し、大衆の行動を支援する!」。

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