2011年3月号掲載

中国を拒否できない日本

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著者紹介

概要

2010年、日本に代わってGDP世界第2位の座についた中国。強大な軍事力に加え、強大な経済力を同国が手中にした今日、日中関係が緊張緩和に向かう可能性は低く、むしろ対立に向かう。こう述べる著者が、尖閣諸島の漁船衝突事件での中国の対応、中国資本が日本企業や不動産を買い漁る動きなど、様々な事象を踏まえて、中国の“新国家戦略”を読み解く。

要約

日中国力逆転の意味

 2010年、日本はGDP世界第2位の座を中国に明け渡した。この日中の国力の逆転は、単に経済上の問題として片付けられるものではない ―― 。

中国の“反転攻勢”が始まった!

 中国人にとって、「近代」という言葉は負のイメージしかない。阿片戦争以降、中国は列強に国土を蹂躙され、なすすべもなかった。それは誇り高い中国人にとって忌まわしい屈辱の歴史だ。

 1949年、中華人民共和国を成立させた毛沢東率いる中国共産党は、西側に門戸を閉ざし「近代化」に背を向けた。そして社会主義路線を突っ走る。だがそれは、文化大革命といった惨憺たる失敗に終始し、経済は破綻、人民は貧苦に喘いだ。

 70年代になって、中国はようやく「4つの現代化」を打ち出した。当時首相だった周恩来は、農業、工業、国防、科学技術の4分野に西側の技術を導入して発展を目指すという路線をとる。

 その路線に拍車をかけたのが鄧小平である。鄧は78年、「改革・開放」路線を打ち立てた。それは、市場原理の導入、西側先進国の資本と技術の受け入れ解禁を意味していた。

 当時の中国はひたすら低姿勢だった。西側の思考様式を学びたいと殊勝な心がけを見せ、国際社会のルールに恭順の意を示していた。

 それから30年、中国はついに富強を掌中にした。屈辱の時代だった「近代」は終わり、待望の「現代」に突入したのだ。強大な軍事力と経済力、膨大な人口を武器として、世界に反転攻勢に打って出る時代が到来したのである。

 では、これから何が起きるのか?

2010年9月の尖閣諸島漁船衝突事件

 事件後、直ちに中国外務省は、同年7月に始まった東シナ海天然ガス田の日中共同開発に関する条約締結交渉を、一方的に延期すると発表した。

 また、建設会社フジタの日本人社員4人がスパイ容疑で拘束される一方、ハイテク産業に不可欠なレアアースの対日輸出が中国税関で停滞していることが発覚し、日本の経済界に衝撃が走った。

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