2009年10月号掲載

不況後の競争はもう始まっている 景気後退期の戦略行動とは何か

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著者紹介

概要

2008年のリーマン・ショック以降、世界の企業は経済危機への対応に追われている。しかし卓越した企業は、景気後退期を生き抜くことだけに汲々としていない。次に訪れる景気回復期を睨み、そこで成功するための対策も抜かりなく行っている。本書では、景気回復期に“勝ち組”となるために今なすべきことを、ボストン コンサルティング グループが指南する。

要約

企業は不況を過小評価している

 2009年1月、IMF(国際通貨基金)は、同年の世界のGDP(国内総生産)成長率の見通しを一挙に0.5%へと引き下げ、先進諸国がマイナス2.0%、開発途上国も大幅減の3.3%と予想した。

 そこで09年3月、この危機に関する見方の変化と、危機に直面して企業が講じようとしている対策を把握すべく、先進国企業439社を対象に調査を行った。すると、「2009年もGDPは成長する」と予想した企業が全体の3分の1を超えた。

 短期的には大部分の企業が景況悪化の見通しで一致しているものの、その先については、実に半数以上の企業が「2010年半ばには回復する」ことを見込み、その方向で計画を立てている。

 今回の調査では、外部の経済事象が自社の事業に及ぼす影響について考慮が不十分な企業が多いと認識させられる回答が多く見られた。

 回答企業はたいていどこも、景気後退に対処するために何らかのプロセスを導入していた。

 だが、企業の危機対応には、メリハリなく一律に対処している傾向が見られる。

 例えば、人員や生産能力の縮小によるコスト削減を重視する企業は、ひたすらこのような対策に終始していた。

 コスト削減に取り組んでいる企業の中で、分野に応じて従業員や生産能力の削減と拡大を使い分けているところは、わずか3分の1だった。

 企業は、最悪の事態を想定した準備を整えるべきだ。短期的にはコスト削減に取り組み、長期的には低コスト体制の基盤を整える。つまり、どのような状況下であれ、可能な限り低コスト構造の企業になることが極めて重要といえる。

 今、どのように行動するか次第で、企業の長期的な競争力が決まるだろう。早めに先を見越して手を打たず、切羽詰まって腰を上げるのは、自らの運命を決める能力を放棄するに等しい。

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