2009年4月号掲載

名将の品格

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著者紹介

概要

サムライとしてあるべき姿を求め続けた名将・上杉謙信。そして、その志を受け継いだ宰相・直江兼続。本書は、NHKの大河ドラマ『天地人』の原作者が、この2人に焦点を当て、名将の品格とは何かを論じたものである。多くの武将が「利」によって動いた戦国の世にあって、「義」の精神を唱え、品格ある生き方を貫いた謙信と兼続の姿が鮮やかに描き出される。

要約

「武士道」の先駆け

 「武士道」というのは、明治時代に新渡戸稲造が『武士道』という著作をあらわして以降、広く知られるようになった言葉である。

 しかし、それよりずっと以前、日本中の武将が「国盗り」の戦を繰り広げていた時代に、武士道的な理想を追い求めていた武将がいた。

 それが、越後の名将・上杉謙信、そして謙信の志を継いだ名宰相・直江兼続だ。すなわち、彼らは「武士道精神の先駆け」なのである。

「天」「地」「人」

 一般に、戦国武将の中で最強だったのは、上杉謙信と武田信玄だといわれる。戦国の両雄といわれた2人だが、人間としてのカラー、特に人道的なことに対する考え方は結構違った。

 信玄は「目的のためには手段を選ばぬ」ところがあって、相当冷酷なこともやった。

 一方、謙信は義理堅さに定評があり、その特徴を整理すると、「裏切りをせぬ」「謀略を使わぬ」「非道をせぬ」の3つになる。

 この謙信のやり方は、今からすると正統派に見えるが、当時の常識では「異端」だった。生き馬の目を抜くような時代にあっては、誰もが「そんなお人好しが通用するはずがない」と思った。

 ところが、家臣は「こういう大将ならついていける」と結束した。他国の将も、「敵ながら頼むに足るのは謙信だけ」と絶大な信頼を寄せた。

 「天の時、地の利に叶い、人の和ともに整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なお有るべしとも覚えず。もっとも、この三事整うにおいては、弓矢も起こるべからず。敵対する者もなし」

 すなわち天、地、人の3つを備えていれば、そもそも戦など起こらない、そういう大将こそ平和な世の中を築ける、というわけだ。そして、まさに彼こそが、この3つを兼ね備えた武将であった。

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