2009年4月号掲載

さらばアメリカ

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著者紹介

概要

2009年1月、バラク・オバマが第44代米大統領に就任した。彼は「チェンジ」を旗印に多くの支持を得たが、果たしてアメリカは変わることができるのだろうか? 著者・大前研一氏の見方は悲観的だ。東西の冷戦終焉以降、特にブッシュ前政権の8年間で、もはや引き返せないところまでアメリカは「変質」した。そう指摘し、同国が今抱える“病巣”を徹底解剖する。

要約

アメリカの行く末は暗い

 第44代アメリカ大統領、バラク・オバマ。

 彼の演説のうまさは有名で、日本でも大きな話題を呼んだ。だが、2008年11月の勝利宣言スピーチの中に、オバマならではの外交姿勢が隠されていることを指摘したマスコミは皆無だった。

 彼は、勝利宣言スピーチの中で真珠湾攻撃のことを「パールハーバー」とは言わず、単に「ハーバー」という言葉を使った。これは、日本に対する大きな配慮の表れといってよい。

 また、冷戦終結についても、「コールド・ウォー」という言葉を使わずに、「ベルリンの壁が壊れた」と表現した。これもロシアへの配慮だろう。

 そういう細かい配慮をしているオバマは、ブッシュのように、「一国主義(単独行動主義)」はとらないと思われる。

 全方位外交への転換は、新しい世界の出現を招来するものであり、ようやくアメリカが「まともな大国」に戻ることになるとも予想される。

 にもかかわらず、アメリカの行く末について、悲観的な見通ししか描けない。なぜか?

 まず、リーマン・ショックに見舞われた08年9月以降のアメリカは、我々が知っているアメリカではなくなってしまったからである。

 ブッシュ政権の財務長官ヘンリー・ポールソンはゴールドマン・サックス前会長であり、選挙で選ばれたわけでもない役人でありながら、金融安定化法なる“打ち出の小槌”を編み出した。

 金融安定化法はもともと公的資金7000億ドルで不良債権を買い取ることを目的としていた。それを彼は資本注入に用いたり、ビッグ3へのつなぎ融資に用いるなど、脱法行為を繰り返している。

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