2007年7月号掲載

ビジネスの“常識”を疑え!

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著者紹介

概要

「合理的な戦略があれば競争に勝てる」「よい商品なら売れる」「スピードが何より大切」…。いずれも、“ビジネスの常識”とされていることだ。だが、果たして本当にそうなのか。そもそもビジネスにおいて、常識など成り立つのだろうか。『現場力を鍛える』『見える化』『ねばちっこい経営』の著者・遠藤功氏が、豊富な実例をもとに60のビジネス常識を覆す。

要約

「常識」は「仮説」にすぎない!

 ビジネスに関する常識やセオリーをたくさん知っていれば、それだけ仕事がスムーズにできるようになる ―― 多くの人はそう思っている。

 だが実際は、常識を信じたばかりに判断を誤ったという事例が、枚挙に暇がないほどある。それは、ビジネスというものがそもそも常識とはなじみにくい、次の3つの特徴を持った世界だからだ。

①多面性

 ビジネスは、様々な人たちの利害の関係性によって成立する。だから、同じ事象でも、関わり方や立場によっては異なる常識が生まれる。

②進化性

 ビジネスを取り巻く環境は常に変化し、進化している。従って、以前はこれでうまくいったという常識が、次もまた通用するとは限らない。

③非再現性

 ビジネススクールで教わったケーススタディを、現実にその通りやろうとしても、たいていはうまくいかない。そうした事例は、ある特殊な状況下で起こったことにすぎないからだ。もし、同じ結果を求めるなら、全ての状況を同一にしなければならないが、そんなことは不可能である。つまり、ビジネスには再現性がない。

 一方、常識とは「どんな場合であっても常に正しい、もしくは適切とされる知識」と定義される。これが成り立つのは自然科学のような、多面性がなく、進化性が緩やかで、再現性があることが前提の世界だけだ。

 従って、こうした条件に結びつかないビジネスでは、常識は存在し得ないということになる。

 今、巷でビジネス常識といわれているものは、単なる「仮説」にすぎない。仮説を常識と思ってしまうと、間違いを犯しかねない。例えば ――

合理的な戦略があれば競争に勝てる?

 2006年に、デルがノートパソコンに使用しているソニー製のリチウムイオン電池の発火事故を公表した。ソニーがその回収と対策に投じた費用は、優に500億円を超えるといわれている。

 リチウムイオン電池は、1991年にソニーが他社に先駆けて事業化に成功した。以来、その市場は急拡大を続け、現在、ソニーは世界第2位のシェアを誇る。つまり事業戦略としては正しく、先見の明があったと賞賛されてしかるべきなのだ。

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