2005年7月号掲載

イギリスでは なぜ散歩が楽しいのか? 人にやさしい社会の叡智

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著者紹介

概要

イギリスを旅すると、彼らがいかに自分たちの文化や歴史に誇りを持ち、それを守ろうとしているかがよくわかる。街全体が落ち着いていて、確かに“散歩が楽しい”。だが、それだけではない。この国には、「人生のコース」もたくさんある ―― 。1990年以来イギリスに暮らす著者が、伸び伸びと人生を楽しめる国・イギリスの叡智を教えてくれる。

要約

日英の風景の違い

 日本は住みにくい国になった。頻繁に起きるおぞましい事件、毎年3万人を超える自殺者…。

 新しいビジネス街やショッピング・モールが誕生し、物質的にはとても豊かに見える一方で、社会には強い閉塞感が漂っている。なぜなのか?

 日本とイギリスの社会を比べてみると、日本には高層ビルなど目に見える物質的文化はあっても、そこで暮らす人の心を安らかに保ってくれる社会的な基盤がないことに気づく。

 イギリスには、高層ビル群も豪華なショッピング・モールもないが、伸び伸びと呼吸できる空間がある。ビルの高さは統一され、派手な広告看板もなく、歩いていてすがすがしい。

 これは偶然の産物ではない。イギリス人が自分たちの意志で、こうした環境を守ってきたのだ。

 環境だけでなく、学校教育や社会的弱者の暮らしの面でも、国民を支援する仕組みがある。その底流には、政府と国民が協力し合い、弱者にやさしい共同社会を作り出そうとする思想がある。

 それは、社会の見えない部分に、人を守る多くの仕組みや制度 ——「フレンドリー・ネットワーク」を張り巡らせた柔軟な文化である。

 日本の社会にはまだ、こうした仕組みや思想がない。それは、単なる「社会福祉」の問題ではなく、もっと広範な人の命や暮らしに対する本質的な姿勢の問題である。

*  *  *

 日本には、古い木造の寺院が多く残っている。だが、そうした寺院の美しさと対照的に、京都や奈良の街並みは汚い。寺院を囲むように、高さも大きさも不揃いなビルが建ち並んでいる。

 イギリスでは、歴史的建造物の隣に珍奇な形のビルが建つことはない。歴史的建造物や史跡を買い取り、原形のまま保存しようと活動する組織に守られているからだ。

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