2026年10月号掲載
幸福感とは身体感覚である 4つのホルモンを増やして体の中から幸せになる
著者紹介
概要
幸福とは、頭で考えて得るものではない。歩く、触れる、誰かと笑うなど、身体を通して受け取るものだ。心を整えるセロトニン、前に進む力となるドーパミン、温かさを生むオキシトシン、多幸感をもたらすエンドルフィン。身体を動かすことで生じる、これら4つの「幸福ホルモン」の仕組みと働きを、身体心理学者が解説する。
要約
幸福は「身体」から生まれる
私たちは普段、「心が身体を動かす」と思っている。気分が変われば、動ける。だから気分が変わるのを待つ。だが身体心理学では、まったく逆のことを言っている。動くから、気分が変わる。
実際、身体が心を動かしていることも多い。落ち込んでいる時、考え方を変えるのは難しいが、身体を少し動かすことならすぐできる。
立ち上がる。肩を回す。ゆっくり呼吸する。それだけで、身体の状態は少しずつ変わる。そして身体が変われば、心もまたゆっくりと動き始める。
身体の3つの状態
水を思い浮かべてみよう。温度が下がると、凍って固体(氷)になる。常温では液体(水)であるが、熱を加えると気体(水蒸気)となる。
人間の身体と心も、同様の原理で動いている。
・固体の身体:凍りついた身体
突然地震が起きたら、身体はどうなるか。全身の筋肉が緊張する。これが「固体の身体」である。身体が固体になると、恐怖の感情が生まれる。
この「凍りつき」の状態が長く続くと、身体のエネルギーは消耗される。すると、やる気がなくなって抑うつ状態になる。抑うつ状態は、身体を動かさずにいる結果なのである。
・液体の身体:しなやかな身体
一方、リラックスしている時の身体は、液体のように柔らかくなる。肩の力が抜け、呼吸はゆっくりと深くなる。この時、心はどうだろうか。安心感があり、穏やかで余裕を感じる。
・気体の身体:高揚した身体
もう1つの状態が、気体である。気体には2種類ある。1つは創造的な高揚感、もう1つは制御を失った興奮状態だ。好きなことに没頭している時、身体は「気体」の状態になっている。高揚感があり、エネルギーが満ち溢れる。そんな時、心は空中に彷徨っている状態になる。この「ハイ」な状態が続くと、やがて燃え尽きてしまう。
身体の状態を変えるのはエネルギー
固体の氷が液体になるためには、熱、エネルギーが必要である。それは身体も同じだ。ストレスでエネルギーが奪われると、身体は動けなくなって固体に近づく。そして最終的に、何もできなくなる状態である「燃え尽き症候群」に陥る。
それを避けるためには、身体にエネルギーを与える必要がある。つまり「身体を動かすこと」だ。